1998 Fiscal Year Annual Research Report
逆境的政策決定の国際比較研究-財政赤字削減、福祉国家縮小、行政改革の政治
Project/Area Number |
10720053
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
坂本 隆幸 南山大学, 法学部, 講師 (10298557)
|
Keywords | 経済政策 / 比較政治経済 / 福祉国家 / グローバリゼーション / 意思決定論 / 政治行動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、財政赤字削減・福祉縮小・増税など、国民や社会経済集団の政治的反対に遭い、実施が難しい政策が、世界各国でどの程度の規模で実施され、政府がいかにして「経済逆境的」な政策への国民や政治家の支持を構築するかを、国際比較研究で明らかにすることだ。今年度(初年度)は、研究の要となる世界各国の財政・国家経済業績などの時系列経済データと、政治システム・選挙制度と結果・政府の構成・労働産業関係などの政治社会データを集めること、さらに既存研究の結果を収集し、分析することに研究活動のすべてを費やした。作業の大半は、OECDなどから過去四十年の経済データを入手し、データに加工を加えてデータベースを構築することにあてられた。また、政治社会データを各国際機関・研究者などから収集してデータベースに加えた。集まったデータは、OECD諸国を中心とする約二十五ヶ国(1960-97)のもので、変数の数は三百余りになる。 データ収集・入力の作業は現在も続いており、詳細な分析結果はまだ出せない状況にある。しかしこの作業の過程で、研究の課題・方向性がより明確になった。第一に、同分析課題はこれまで研究されていない分野で、データも存在しないか、ばらばらに存在するのみで系統的に調査されていない。このことから、同課題分析と体系的データベース構築の必要性が確認された。第二に、既存の比較政治経済研究を調査すると、同じソースに依拠する同じデータであっても研究者のデータベース間で無視できないような相違が存在することが分かった。これは分析結果を左右するような重要な問題で、本研究では妥当で信頼できる数値の使用に努める。 来年度は、データ入力を完成させ、本格的な分析に移る。既存研究や本研究の初期調査の結果から仮説を作り、経済・政治データの時系列クロスセクション分析を行うとともに、事例研究を行い、経済逆境的政策の本質と要因、メカニズムの解明に努め、結果を公表する。
|