1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国およびロシアにおける市場経済化の政治経済学-政策決定論からの比較研究-
Project/Area Number |
10730026
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤永 修一 明治大学, 政治経済学部, 講師 (00245317)
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Keywords | 市場経済 / 中国経済 / ロシア経済 |
Research Abstract |
中国およびロシアの市場経済化の経済的成果を、政策決定論の立場から、制度的な枠組みのなかで比較研究することに、本研究の目的がある.これまでの成果を簡潔に述べるとすれば、以下の通りである. 1 経済パフォーマンスのみに着目するならば、中国の方が優れており、中国の発展に対し、ロシアの混乱といえよう. 2 経済発展と政治との結び付きに関する研究によれば、一般論としてではあるが、次のことが明らかとなった. (1) 制度的枠組みの安定性と政策の予測可能性が、経済発展のための最も重要な要因となる. (2) 民主主義の程度と経済発展には明確な関係は認められない(但し、民主主義は、政府の透明性を高めることからして、長期的にはその意義を十分に認めることができる). 3 中国の社会主義市場経済とは、共産党主導のもとでの市場経済の確立のことであり、民主主義については現段階では考えられていない.政経分離型の中国のシステムは、政治・社会の安定を第一として考えているところに意味を持たせることはできるが、いずれ、社会主義と市場経済の論理的整合性やその存在可能性が問われるであろう.おそらく、現システムは中国のプラグマティズムの現れであり、また、政治リーダーに対する信頼が高いことに立脚していると考えられる.早急には、法整備やルールの明確化が必要とされる. 今後の課題として、民主主義と市場経済について自由主義や個人主義などの立場からのさらなる検討が必要とされる.
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