1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10730028
|
Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
中野 聡 豊橋創造大学, 経営情報学部, 講師 (00288573)
|
Research Abstract |
欧州ワークス・カウンシル(多国籍企業における従業員に対する情報開示・協議制度)を対象とするこの研究は、産業民主制と社会的市場経済形成に関する調査の一環として位置づけられている。このテーマに対し、制度形成の歴史的過程と現況の考察、および制度に対する多国籍企業経営者の評価の2点からアプローチを試みた。制度の形成過程については、既に詳細な研究が存在しており、特にP.ケルシュコフのものはEU政治組織と欧州労使団体の関係を詳細に追っている点に特色が見られる。この論文(仏文)を抄訳したのが、「欧州労使協議会指令94/45/ECの形成-EU政治組織と社会的パートナー」で、一部は、拙稿「欧州労使協議会と制度評価のモデル」にも引用されている。また、指令の国内法へのトランスポジション、イギリスのオプト-イン、協約数と協約内容の現況など、カウンシルをめぐる動向の一部に関しては、「EU社会政策と市場経済-欧州ワークス・カウンシルをめぐる近年の動向」で概観した。 実証研究に関しては、既存研究やUNICEポジション・ペーパーにもとづいて分析フレームを設定することから試みた。その結果は、「欧州労使協議会と制度評価のモデル」後半に概略されている。実地調査は、在欧日系企業に対する全数調査と、それ以外の企業に対するサンプル調査に分離した。前者に関しては、1998年10-12月にかけ35社を対象とするアンケート調査等を行い、50%強の企業人事担当者等から回答を得た(有効回答14社40%)。結果では、制度に対する肯定的な評価が大半(71%)を占めること、それが企業情報の提供、労使協調、従業員参加の促進、CI形成の手段として認識されていること、また従業員の期待や要求へのリパーカッション、関連財政支出および企業構造との整合性が主なコストと判断されていることなどが指摘されている(現在英文論稿を投稿中)。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 中野 聡: "欧州労使協議会と制度評価のモデル" 豊橋創造大学紀要. 2. 145-156 (1998)
-
[Publications] P.ケルシュコフ(中野訳): "欧州労使協議会指令941451ECの形成" 大原社会問題研究所雑誌 掲載予定.
-
[Publications] 中野 聡: "EU社会政策と市場経済:欧州ワークス・カウンシルをめぐる近年の動向" 豊橋創造大学紀要. 3. (1999)