1998 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代日本の産業統制をめぐる多元的利害調整の実証的研究
Project/Area Number |
10730034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平沢 照雄 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (70218775)
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Keywords | 産業統制 / 統制経済 / 1930年代 / 中小工業 / 大恐慌 / 植民地 / 貿易摩擦 / 輸出統制 |
Research Abstract |
本研究は、1930年代日本で展開された産業統制を、(1)国内の経済構造、(2)対外関係、(3)対植民地関係に着目しつつ多角的かつ重層的に検討することを目的とする。この目的にそって、本年度は、以下の2つの研究を実施した。1つは、上記3つの側面に着目しつつ産業統制を分析する場合に、具体的にいかなる点が重要な論点となるかを、先行研究を踏まえつつ明確にすることである。なお本研究は、本年度と来年度の2年間にわたって行うものであるが、かかる考察は、本研究全体のいわば共通基盤をなすものと位置づけることができる。さらに2つめとして、前者で明らかにした論点を電球統制を事例に選び立ち入って考察した。 このうち第1の研究では、これまでの通説的見解が、1937年以降の「戦時統制」とそれ以前の産業統制との質的相違を明確にしていない点を問題とし、これに対して1930年代前半期における産業統制の独自な意義に着目すべきことを示した。そしてこの問題意識から、統制分析に際しては、両大戦間期に形成・定着した二重構造との関係、問屋制との関係、輸出統制にみられる二面性、植民地「工業化」との関係といった点で、重要な、しかしこれまで必ずしも本格的に研究がなされてこなかった論点について明らかにすることができた。そしてかかる成果を大学の研究紀要に発表することができた(後述「研究発表」欄参照)。 さらに第2の研究に関しては、日本電球工業会等が所蔵する1次資料等に加え、この度新たに外務省外交史料館所蔵の外交資料を収集することができ、その結果、これまで新聞報道等のみでしか知り得なかった日英間の電球協定の成立過程をより立ち入って考察することができた。この研究過程で、これまで全く着手されてこなかった電球統制をめぐる日英関係と本国・朝鮮との関係についての成果をまとめ、目下学術雑誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)