1998 Fiscal Year Annual Research Report
為替相場のマーケットマイクロストラクチャーモデルと超高頻度データ実証分析
Project/Area Number |
10730043
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
須齊 正幸 長崎大学, 経済学部, 助教授 (40206454)
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Keywords | Ultra High Frequency Data / 効率的市場仮説 / ニュース効果 / マーケットマイクロストラクチャーアプローチ |
Research Abstract |
外国為替市場のマーケットマイクロストラクチャー理論からの分析の一環として、本年度は事前に予定される経済指標の発表と外国為替市場の関係を実証的に分析した。 これまでに経済指標の発表と為替レートの関係について数多くの研究成果が報告されている。日次データによる分析ではマネーサプライや、一部Industrial Productionが有意な影響を与える可能性が示唆され、貿易収支の影響も確認されるケースもある。しかし、データがイントラディ、UHFDへと変化するに連れ、経済指標の発表の効果はより明確に確認されるようになってきた。実際、事前に予定される経済指標の発表のみの影響を捕らえるためには、短いインターバルのデータを用いる方が好ましい。それはインターバルが長ければ長いほど別の要因が為替レートに影響を与える可能性が高くなるためである。 本年度はUHFDを用いるとともに、そこで主流であった単変量時系列モデルではなく、為替レートの変動と期間当たりのtickという二つの情報をもとに、事前に予定される経済指標の発表の外国為替位置に与える効果を分析した。そこでは、為替レートとtick間隔の二変量確率分布にもとづくわれわ独自の検定統計量を用いている。これまでの分析結果と同様に、物価に関わる経済指標の発表の効果が相対的に低いこと、その他多くの経済指標の発表は有意な影響を与えることが確認された。またその効果は即時的であるが、どれくらい継続するかは経済指標の発表により異なり、全体として効果は逓減している。 しかし、多くの理論研究で示されるように、経済指標の発表のサプライズ、事前の予想のばらつきが大きければ、その経済指標の発表の影響は大きくなるという仮説についての検証は本年度ではなされていない。この問題は、来年度の課題と考えている。
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