1998 Fiscal Year Annual Research Report
資産評価理論を中心とするファイナンス論の理論および政策的研究
Project/Area Number |
10730051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯野 正幸 東北大学, 経済学部, 助教授 (70202835)
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Keywords | 資産評価理論 / 均衡 / 裁定 / 効用理論 |
Research Abstract |
研究の目的の一つであるAPT周辺の諸問題の考察において、Eddie Dekel(1989)における考察を精密化する方向で、一定の検討を行った。投資家の選好が、期待効用の表現をとらないとき、危険回避とポートフォリオ分散化との関係が一つである。両者が必要十分条件になるための前提と、それ以外の場合の状態を分析した。来年度は、これを一般化して、効用理論の問題で、独立性と連続性の公理の問題を扱う。 次に、APTにおいて、均衡と無裁定の条件の考察を行った。技術的問題が、まず、重要であり、それに加えて、経済学的解釈に踏み込んだ。ここから、Harsanyiの定理との対応で、無裁定条件の形式的特徴を社会選択の問題に応用するとき、どのような意味を持った社会厚生関数が導かれるかについて、来年度も継続して検討する。 さらに、これに関連して、功利主義をめぐっての論点について、一定の分析を行った。Senの指摘している、功利主義の特徴としての帰結主義をどう位置づけるかという点が中心となっている。来年度も、倫理へのアプローチに経済学的考察や知見がどこまで貢献できるかの長期的目標において、政策的観点もふくめて、研究を続ける計画である。 以上、大きく三つの論点は、資産評価理論においても、効用理論においても、相互に関連しており、全体的体系を分析する目的を背後においている。
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