1998 Fiscal Year Annual Research Report
熟練と量産システムの共進化メカニズムに関する実証研究
Project/Area Number |
10730056
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐々木 圭吾 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (90285156)
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Research Abstract |
本研究の方法論的な基本方針は「三角測量法的手法(triangulation)」によって総体的、多角的に熟練と量産システムの共進化メカニズムを解明することである。すなわち、一つの方法に頼らず、複数の視点と方法から現象を分析しようとするものである。平成10年度は、経営組織論、経営戦略論の視点から概念的枠組みを洗練することから、インタビューや企業訪問での予備調査による作業仮説の特定を行った。具体的には、 (1) 熟練技能の組織的作業や機械・プログラムへの変換過程および機械や作業マニュアルによって熟練が変化していく過程を知識変換過程として捉えて、それら二つの過程の詳細とそれらに影響を及ぼす組織的、戦略的要因を推定した。 (2) 理論的な追求と共に現実の企業における熟練者のパイロット調査を行った。すなわち、分析フレームワークと調査の相互確認の中から、仮説構築を目指すための調査を実施した。特に本年度は、医療品および、建設(エンジニアリング)産業での熟練を調査した。 (3) これまでの研究成果、及び(1)、(2)の結果、熟練の本質的性質が「特定の文脈を超えたポジティブな適応」にあり、その際に必要となる能力が「概念化能力」にあることが推察された。こうした理論的フレームを組織学会定例研究会と名古屋大学経済学部研究会において報告した。 平成11年度は、質問票による大量サンプルでの多変量解析と個別事例の分析による多角的な実証研究へと進んでいく。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ikujiro Nonaka,Katsuhiro Umemoto and Keigo Sasaki: "“Managing and Measuring Knowledge in Organizations,"in von Krogh et.al.eds.Knowing in Firms" SAGE Publications, 36-290 (1998)