1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10730059
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
河西 邦人 札幌学院大学, 商学部, 助教授 (40295879)
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Keywords | 第三セクター / 組織間関係 / 価値システム / 統合 / 分化 / 価値観共有による経営 |
Research Abstract |
第三セクターの組織を地方自治体と民間組織の組織間関係と捉え、組織間関係論のフレームワークを基盤にして事例研究のための調査を行った。北海道の第三セクター25社、16地方自治体を訪問調査した結果、次のような仮説が導き出された。まず、複数組織の協働の場としての第三セクターにおいて、出資組織を中心とした統合による管理が必要であるということ。第三セクターは、出資組織である民間組織と地方自治体という組織特性がきわめて分化している組織による協働ゆえに、分化を調整する経営システムや経営スタイルが必要である。統合はTight Couplingで達成され、分化はLoose Couplingによって生じ易くなる。第三セクターと出資組織の組織間関係、そして出資組織同士の組織間関係の統合が有効に行われていないことが、第三セクターの経営成果に対して悪影響を及ぼしているのではないかと考えられる。第二の仮説としては、第三セクターにかかわる組織間関係を統合する経営システムや経営スタイルに関して何を採用すべきかということである。経営システムに関しては情報を媒介にした統合であり、経営スタイルに関しては価値観の共有を促進するリーダーシップではないかと考える。第三の仮説としては、統合は価値システムとしての第三セクターの経営に対してポジティブに機能する一方、第三セクターは地域社会や行政システムという制度に深く埋め込まれた結果、第三セクターの経営戦略やその実行に関して大きな制約が課せられてしまうことである。すなわち、統合は第三セクターの環境不適応につながるネガティブ要因として機能するとも考えられる。平成11年度はこうした仮説を検証し、統合を有効に行いつつ、悪影響を抑制していくかをさらに考察していく。
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