1998 Fiscal Year Annual Research Report
2つのヤン・バクスター方程式の楕円関数解と楕円的量子群
Project/Area Number |
10740001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澁川 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90241299)
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Keywords | Ruijsenaars / Bruschi / Calogero / 微分方程式 / R作用素 / L作用素 / 楕円関数 / ヤン・バクスター方程式 |
Research Abstract |
Ruijsenaars-Schneiderは,いくつかのdynamicalな可積分系を定義した.これを受けて,Bruschi-Calogeroは,ある微分方程式の解を用いて,この可積分系のLax表示を具体的に求めた.その微分方程式は次のようなものである. α(x)α^1(y)-α^1(x)α(y)=[α(x+y)-α(x)α(y)][η(x)-η(y)] ここでαとηを未知関数としている.Bruschi-Calogcroは,この微分方程式の一般的な解析的解として楕円関数解を求め,その退化した解として,三角関数解,有理関数解などをも求めている.研究代表者は,この微分方程式の全ての有理型関数解を求めようと試みている.これを書いている現在,まだ発表する段階ではないが,この試みの一部は成功を治めている. 一方,Shibukawa-Uenoにより,BelavinのR行列の一般化である,楕円R作用素が定義された.この楕円R作用素は,ある関数空間上で,ヤン・バクスター方程式を満たす.研究代表者は,楕円R作用素に付随したL作用素が構成されることを示した.これはいわゆるR=LLR関係式を満たすものである.そこで,このL作用素を用いて,可換な差分作用素の族であるRuijsenaars作用素を構成することを試みようとしている.発想は通常の行列と同じでどこにも困難な点はないが,トレースをとる場合,その空間が無限次元となる点で困ってしまう.研究代表者は,この困難を回避するアイデアを得た.次年度にはこれに基き,Ruijsenaars作用素の構成を行う予定にしている.
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