1998 Fiscal Year Annual Research Report
保型形式のフーリエ展開の基礎付け及び,教論への応用,保型形式の空間の構造の解明
Project/Area Number |
10740013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石川 佳弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50294400)
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Keywords | 保型形式 / フーリエ・ヤコビ展開 / ホイタッカー開教 |
Research Abstract |
1. SU(2,1)の一般化ホイタッカー関数の明示公式及び一意性定理は、既に筆者により得られていた。本年度の研究計画は、 (A) この結果のSU(n,1)の場合への拡張及び、 (B) SU(2,1)の場合に得ている結果の数論への応用 であった。 2. (A)については、n=3の場合の拡張を得、九月末数理解析研究所に於ける研究集会で発表した。n=2の場合に比して微分差分方程式系の添字が大変多く、差分条件の「端」を見つけること、及び両立条件の確認が困難であった。この組み合せ的困難から、一般のnに対して同じ手法で研究を進めることは見通しが悪いことが判った。困難打開の方針としては、差分系の対称性が高くなる様な、K-typeの「良い」基底を捜すこと、及び高度に発展した表現論の結果の援用を試みることの二点が挙げられる。 3. (B)については、標準L-関数のγ-因子に関係するRankin-Selberg型積分の計算を行った。また、SU(1,1)の保型形式からSU(2,1)へのテータリフトに関しては、J.-S.Li氏の論文を検討することにより、テータ積分核の満たすべき条件を明確にした。これを満たす積分核を構成するための試験関数を捜すには、Rallis,Schiffmann両氏の1980年のモノグラフの中で使われているハイパボロイド上での微分方程式の具体的研究が有効であることが判った。実際の計算には良い座標を見つけることが肝要となり、まだ時間が掛る。次年度への繰越とする。また、このことに関して、簡約型等質空間の表現が深く関わりを持つことが、上智大学の都築正男氏により指摘された。次年度には、この観点からのアプローチも試みたい。
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Research Products
(1 results)