1998 Fiscal Year Annual Research Report
カラビ-ヤウ多様体のモジュライ空間,双有理構造の研究
Project/Area Number |
10740019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
並河 良典 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80228080)
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Keywords | 変形理論 / モジュライ空間 / シンプレクティック多様体 / カラビ-ヤウ多様体 |
Research Abstract |
非退化な正則2形式をもつKaehler 多様体を、symplectic 多様体と呼ぶ。compactsymplectic 多様体に関して様々な性質が研究されているにも関わらず、具体例はきわめて少ない。一方、Calabi-Yau 多様体の例は、きわめて多い。そしてCalabi-Yau 多様体のmoduli 空間の多くは退化と変形の2つの操作によってクモの巣のようにつながっている。本年度は、この現象のアナロジーが、compact symplectic 多様体でも成り立つか否かを研究した。得られた結果は次の通りである。 π:Y→Xを射影的なsymplectic 多様体Yから正規射影多様体Xへの双有理写像とする。このとき、XおよびYの倉西空間はともに非特異であり、両者の間の写像π_*:Def(Y)→Def(X)は有限被覆射である。 このことから、Xは変形によって非特異化できるが、出来上がった多様体は、Yを微少に変形したcompact Kaehler 多様体に他ならないことがわかる。この状況は、compact symplectic 多様体とCalabi-Yau 多様体との違いをはっきりとあらわしている。すなわち、compact symplectic 多様体の場合、moduli 空間がCalabi-Yau 多様体のときのごとくクモの巣状につながった様相は期待できない。ここで述べた結果の詳細を、プレプリント:"Deformation theory of singular symplectic n-folds" に書いた。
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Research Products
(1 results)