1998 Fiscal Year Annual Research Report
有理数体の総実P-拡大体に対するGreenberg予想の研究
Project/Area Number |
10740022
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾崎 学 島根大学, 総合理工学部, 講師 (80287961)
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Keywords | 岩澤理論 / 岩澤不変量 / Greenberg予想 |
Research Abstract |
平成10年度に本研究で得られた研究成果を以下に列挙する: 1. 素数pに対して、有理数体の実p次巡回拡大体kで、pに対するGreenberg予想,即ちλ_p(κ)=μ_p(κ)=0が成立して且つそのZ_p^-拡大に付随する岩澤加群のp^-数が随意に大きいものを構成した。pに対するGreenberg予想の成立はZ_p^-拡大に付随する岩澤加群が有限ということと同値である。この結果は総実代数体の岩澤加群の位数が、有限の範囲でいくらでも大きくなり得ることも意味している。またこの結果を単項化問題に応用して、代数体kで、その適当な不分岐p次巡回拡大でκのイデアル類群のp^-Sylow部分群がすべて単項化して、且つイデアル類群のp^-階数が随意に大きいものが存在することを示した。 2. pを奇素数、κをイデアル類群のp^-Sylow部分群が巡回群で、次数がpと素でpが分解していない総実代数体で、λ_p(κ)=μ_p(κ)=0が成立しているものとする。このような総実代数体κ上にλ_p(κ´)=μ_p(κ´)=0となるp次巡回拡大κ´/κが無数に存在することを示した。 3. 有理数体の素数導手の3次巡回拡大体に対して、素数3に対するGreenberg予想の成立を確かめる簡潔な判定条件を与え、これを用いて多くの実例について素数3に対するGreenberg予想が成立することを計算機で確認した。具体的に言えば、10000以下の素数導手の3次巡回体611個のうち、599個についてλ_3=μ_3=0を示すことができた。 また本研究に関連する次の結果も得た: 4. pを素数として、κを類数がpと素で、pが分解しているような虚二次体とする。このとき有限個の例外を除いたすべてのκ上のZ_p^-拡大K/kに対して、岩澤不変量がλ(K/κ)=1,μ(K/κ)=0となる。 この現象は類数がpと素である虚二次体のZ^2_p-拡大に付随する岩澤加群が“小さい"という、総実代数体のGreenberg予想に相当する事実が成立していることからの帰結である。この一般化されたGreenberg予想の周辺も視野に入れて今後研究を行う。
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Research Products
(1 results)