1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740041
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
橋口 徳一 日本大学, 理工学部, 講師 (00246836)
|
Keywords | 軌道体 / 測地流 / 横断的に区分線形な葉層 / 離散的ゴドビヨン・ヴェイ不変量 / 手術 |
Research Abstract |
当研究では、上半平面を合同な3角形で覆ったモザイクから、得られた軌道体上の測地流の力学系的・位相幾何学的な性質を明らかにすることが目的である。そのために、今年度はこの測地流がアノソフ流であることに注目して、測地流に付随する不安定葉層構造について研究を行った。このような測地流の多くは、2行2列の特殊線形群の双曲的と呼ばれる元の懸垂流に手術を施して得られるので、横断的に区分線形な構造を持っている。また、横断的に区分線形な構造を持つ葉層構造に対しては、離散的ゴドビヨン・ヴェイ不変量が定義される。横断的に区分線形な葉層構造の離散的ゴドビヨン・ヴェイ不変量と手術の関係を明らかにする次の定理を示すことができた。 定理:有向閉3次元多様体上の横断的に区分線形な余次元1葉層構造Fを考える。ホロノミーが縮小写像f(x)=Ax(0〈A〈1)であるようなFの葉上の単純閉曲線に沿って手術を行って得られた、横断的に区分線形な葉層構造をGとする。このとき、Fの離散的ゴドビヨン・ヴェイ不変量dGV(F)とGの離散的ゴドビヨン・ヴェイ不変量dGV(G)との間には dGV(G)=dGV(F)-(logA)^2 という関係がある。 この結果については、ベルリンにおいて開催された国際数学者会議において発表した。 来年度は、モザイクから得られる軌道体上の測地流と2行2列の特殊線形群の双曲的な元との関係を詳しく調べ、双曲幾何とのかかわりを明らかにしてゆきたい。
|