1998 Fiscal Year Annual Research Report
複素領域における線型、非線型フックス型偏微分方程式
Project/Area Number |
10740074
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山根 英司 千葉工業大学, 工学部, 講師 (80286145)
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Keywords | フックス型 / 分岐コーシー問題 |
Research Abstract |
2階でウェイトが1のフックス型偏微分作用素であって,互いに接する特性曲面を持つものを考える。特性曲面の共通部分は初期面に含まれるものとする。複素解析関数のカテゴリーではコーシー問題が一意可解であることが,BaouendiとGoulaouicの結果によって分かっている。そこで,今度は方程式の右辺が正則でなく,特性曲面上に特異性を持つとする。ここで,右辺は特性曲面の周りに無限多価であってもよい。すなわち,分岐コーシー問題を考えるのである。この状況において,解は特性曲面の周りにいくらでも解析接続できることを示すことが出来た。この種の研究は初め非特性の場合に,浜田,Leray,Wagschalらによって行なわれ,フックス型で特性曲面が互いに横断的な場合には大内らによって行なわれている。証明の方法は小林隆夫とWagschalのアイデアに基づく。すなわち,まず,多重相関数を含むm次元積分のmに関する無限和で解を書き表わす。そののちに,積分路(正確にはm次元特異単体)を曲げていくことによって,解を解析接続していく。この際に位相幾何学の概念と手法(ホモトピー,普遍被覆空間,変位レトラクトなど)を応用する。小林とWagschalは非特性な問題を扱っていて,彼らの場合は有界な関数を積分すればよかったのだが,私の場合は問題がフックス型であるために非有界な関数を積分しなければならなくなって多くの技術的な困難を生じる。また積分路の曲げ方にもより一層の工夫を要し,それに関連してさまざまな評価が複雑になる。現在論文を執筆中であり,近いうちに投稿できる見込みである。
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