1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740075
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
熊ノ郷 直人 工学院大学, 工学部, 講師 (40296778)
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Keywords | 実解析 / 偏微分方程式 / フーリエ積分作用素 / 量子力学 / 経路積分 |
Research Abstract |
FeynmanはDiracに示唆されて、1948年、経路積分のアイデアを発表し、量子力学のそれまで知られていたものとは別の定式化を与えた。以来、物理では経路積分を発展させて様々な応用がなされてきたが、数学的には未だ満足のいく形で定式化されてない。私は、振動積分を用いて有限次元積分による近似で定式化する研究をしてきた。この有限次元積分による近似は収束の位相が強いので、準古典近似などにも応用できる。有限次元積分による近似の研究では、藤原大輔が最初に区分的に古典軌道で結んだ経路の経路積分の一様収束を証明し、谷島賢二がそれを磁場のある場合に拡張している。しかしながら、物理では、区分的に古典軌道で結んだ経路の経路積分だけではなく、折れ線経路の経路積分もよく用いられている。また最近、一ノ瀬弥は、磁場のある場合の折れ線経路の経路積分も『作用素』として収束することを示している。そういった理由で、私は、昨年、磁場のある場合の折れ線経路の経路積分が広義一様収束することを示そうと研究してきた。残念ながら谷島賢二と同じ条件の磁場ではまだ証明できてないが、磁場が定磁場の場合は証明できた。まず、磁場が定磁場の場合の折れ線経路の経路積分についてH.Kumano-go-Taniguchi型の評価が成り立つことを証明した。これについては、昨年8月にポツダム大学で「An estimate for Feynman path integrals」として発表を行なっている。さらに、定磁場の場合の折れ線経路の相関数の合成が折れ線の相関数に近く、折れ線経路の経路積分についてFujiwaraのskip法が使えることも証明した。これらの結果を用いて、定磁場の場合の折れ線経路の経路積分が広義一様収束することを示した。
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