1998 Fiscal Year Annual Research Report
非線形Schrodinger方程式に対する断熱極限問題
Project/Area Number |
10740076
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
平田 均 上智大学, 理工学部 数学科, 助手 (20266076)
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Keywords | 非線形Schrodinger方程式 / 断熱近似 / 離散Schrodinger作用素 |
Research Abstract |
非線形分散型方程式は物理数学のさまざまな分野に現れる重要な方程式であり,非線形Sohrodinger方程式はその一つである。この方程式は物理的に意味のあるいくつかの非線形項の形が知られているが,“定在波"解を持つ場合がある。この解は,対応する非線形定常問題の,固有状態に対応しているが,非線形項に時間変数がパラメータとして入っている場合,当然,その固有状態は時刻によって変化して行く。そこで,例えば初期状態において,その時刻における,定常問題の固有状態に系がなっていたとき,時間が十分たった時に、系がどのように変化するかを考える。この問題を,時間変数をスケーリングして考えるのが「断熱近似」である。 今年度の研究においては,この問題の基礎部分に重点をおいた。すなわち,まず第一に,ある程度広いクラスの非線形項に対して,時刻大域的に解が存在することを示した。(関連する文献:発表論文リスト“The existence of global solution…)これを基にして,次年度は実際に初期時刻の“固有状態"から,終時刻の別の“固有状態"へと解がどのように移って行くかを明らかにする方針である。 また,この問題は,その性格上定常問題に現れる線形作用素のスペクトル問題とも密接な関係がある。従って,現在離散化したSchrcdirger作用素のスペクトル問題についても研究を進めており,今年度はそれらの問題に関してチェコのプラハで6月に行なわれた数理物理のシンポジウム“Q Math 7"に出席した。
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