1998 Fiscal Year Annual Research Report
過剰決定系楕円型方程式の解と領域の対称性に関する研究
Project/Area Number |
10740080
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長澤 壯之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70202223)
|
Keywords | 過剰決定系 / 楕円型方程式 / レーリー予想 / 対称性 / 曲率 |
Research Abstract |
19世紀にレーリーは、ノイマン境界条件下でのラプラシアンの固有関数で境界値が一定なものを許容する有界な単連結平面領域は、円板に限るであろうと予想した。これは、後に、「レーリー予想」と呼ばれ、過剰決定系楕円型方程式の解の存在と領域の対称性の問題の出発点となった。しかし、レーリー予想は、未だに解決されていない。 本研究では、レーリー予想を含む過剰決定系楕円型方程式の解の存在と領域の対称性の問題を、新しい方法で取り組んだ。これまでは、実解析的な方法等で、この種の問題の部分的解決がなされてきたがここでは変分法を用いる試みをした。領域の境界を多様体と見なせば、領域の対称性は、多様体の曲率の対称性の問題となる。多様体が全臍的であるかという事や、曲率から決まる汎関数(例えばウィルモア汎関数)の停留点になるかといった性質を調べる事になる。 今年度は、解の高階の法線微分係数を曲率とその導関数を用いて表現する公式を導き出した。これには、領域の位相的条件(単連結性・可縮性等)や幾何学的条件(凸性・星形性等)を一切必要としない。また、この公式と与えられた楕円型方程式の過剰決定性から、領域が対称性を持つ為の必要十分条件を見いだした。 研究代表者は、近年、高木泉(東北大)と赤血球の形態形成の数学モデルの研究を行っている。これは、変形ウィルモア汎関数の制限極値問題の解となる曲面が赤血球の形状を与えるというモデルである。その研究にあたって行ったウィルモア汎関数に関する様々な考察は、本研究を遂行する上で大いに役立った。逆に、本研究の考察が変形ウィルモア汎関数の制限極値問題にも貢献した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Takeyuki Nagasawa: "Initial-final value problems for ordinary differential equations and applications to equivariant harmonic maps" J.Math.Soc.Japan. 50・3. 545-555 (1998)
-
[Publications] Takeyuki Nagasawa: "Construction of weak solutions of the Navier-Stokes equations on Riemannian manifold by minimizing variational functionals" Adv.in Math.Sci.Appl.9(印刷中). (1999)