1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740091
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
示野 信一 岡山理科大学, 理学部, 講師 (60254140)
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Keywords | 起幾何関数 / 微分方程式 / 表現 / 対称空間 |
Research Abstract |
平成11年度は対称空間上の微分方程式系について,関連する2つの研究を行った. 既約なエルミート対称空間のある種の境界成分上の等質直線束の切断上に実現される主系列表現の空間から対称空間上の直線束へのintertwining operatorをPoisson積分により与え,その像を特徴付ける微分方程式系を具体的に与えた.境界成分としては,対応する放物型部分群を特徴付ける制限ルート系の部分集合が,階数の低い既約なエルミート対称空間に対応しているものを考えた.対称空間上の微分方程式系は,対称空間上の等質直線束からある等質ベクトル束へのcovariantな微分作用素および,不変微分作用素からなる.この結果はJ.Funct.Anal.誌に掲載された. 第2に,対称空間上のFourier変換のパラメータを拡張して得られる,Dunkl変換とHeckman-Opdam変換に対して,Fourier解析における不確定性原理を研究した.古典的なFourier解析における不確定性原理とは,「関数とそのFourier変換は同時に小さくなれない」ことを述べている.対称空間上の不変微分方程式系の動径成分を考え,対称空間の重複度を連続パラメータに拡張して得られる微分方程式系を考える.Dunkl変換とHeckman-Opdam変換は,この微分方程式系の解を積分核とする積分変換で,前者はユークリッド型の対称空間,後者は非コンパクト型の対称空間上の不変微分作用素から出発している.Dunkl変換とHeckman-Opdam変換に対し,Hardyの定理の類似を証明し,Dunkl変換に対してHeisenbergの不等式を証明した.結果は研究集会において発表を行った.
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