1998 Fiscal Year Annual Research Report
最大エントロピー法による激変星降着円盤の2次元再構成
Project/Area Number |
10740095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 太一 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (20283591)
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Keywords | 恒星 / 激変星 / 降着円盤 / 新星 / 矮新星 / 天文情報処理 / Java言語 |
Research Abstract |
本年度は降着円盤像の2次元再構成のための計算機の導入、解析ソフトウエアの導入・開発、および激変星の食および一般的挙動の観測を中心に研究を進めた。 まず、高速計算機を導入するとともに、新しくJava言語を用いたオブジェクト指向による計算コードの開発を行った。このコードは観測の解析に必要となる画像処理、高度なPSF測光、新しいパターンマッチングのコードを含み(天文学会1998年秋季年会にて発表)、2次元再構成の非線形最適化問題の核となるコードを完成させた。 さらに大学屋上に設置した望遠鏡のために制御用ノートパソコンを導入し、矮新星の連続測光を中心とした100晩以上の観測を実施し、上記コードを用いて半自動的に解析を行う環境を開発することに成功した。観測対象はおおぐま座SU型矮新星、矮新星の食現象、中間ポーラーなどを含んでいる。その中でも特にSU UMaについてはスーパーアウトバーストの前駆と考えられる現象を発見、WX Cetについては希なスーパーハンプの周期増加現象を捉えた(天文学会1999年春季年会発表)。いずれも成果発表に向けて準備中である。特筆すべきは、12年ぶりに爆発を起こした反復新星さそり座Uの観測を行い、観測史上初めてこの天体の食現象を爆発中に捉えることに成功したことである。予備的解析によって、この天体が爆発前に大きな周期変化率を示していたことが示され、Ia型超新星の親星有力候補と考えられているこの天体の爆発モデルに極めて強い制限を付ける可能性が得られている。食を用いた新星降着円盤の構造の解明とともに、本研究のハイライトとして現在発表に向けて準備中である。 また、本年度は降着円盤再構成の世界的権威であるイギリスのウッド教授とホーン教授を招へいし、本研究の主題材である矮新星爆発の観測と降着円盤再構成の技法についてレビューを受け、矮新星観測の最先端の知見や再構成問題の数学的解法の具体的手法について貴重な情報を提供いただき、上記研究の進展に大きく貢献させることができた。
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[Publications] T.Kato,K.Nagami,S.Masuda,H.Baba: "The 1996 Superontburst of The SU UMa-Type Dwart Nova HS Virginis" Publ. Astron. Soc. Pacific. 110. 1400-1404 (1998)
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[Publications] S.Kiyota, T.Kato: "Detection of superhumps in V2051 Oph" Inf. Mull. Var. Stors. 4644. 1-4 (1998)
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[Publications] D.Nogami, S.Masuda, T.Kato, T.Hirata: "Spectroscopic and Photometric observations of a Z Cam-Type Direct nova, AT Cancri,in standstill." Publ. Astron. Soc. Japan. 51. 115-125 (1999)
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[Publications] K.Matsumoto,T.Kato,K.Ayni,T.Kawabata: "On the Orbital Period of EG Cancri" Inf. Bull. Var. Stats. 4613. 1-4 (1998)
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[Publications] T.Kato,Y.Lipkin,A.Retter,E.Leibowitz: "Observation of Superhumps in SSUM." Inf. Bull. Var. Stcrs. 4602. 1-4 (1998)