1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 洋一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00281965)
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Keywords | 超対称性 / 量子補正 / QCD / 精密測定 |
Research Abstract |
今年度は、超対称標準模型に含まれる未知粒子である、超対称粒子の崩壊に関する研究を行い、以下の結果を得た。これらの結果は、将来の超対称性の実験的検証において重要になることが期待される。 1. クォークの超対称パートナーであるスクォークは、通常の状況では、フェルミオン対に崩壊する。しかし、第3世代に属するtop squark(stop)およびbottom squark(sbottom)のうちで、質量の重い方の状態(t^^〜_2,b^^〜_2)は、より軽いスクォークと、ゲージ粒子またはヒッグス粒子の、2つのボソンに崩壊しうることが知られている。私は、他の研究者との協力によって、超対称粒子に関するパラメータが特定の条件を満たす場合には、(t^^〜_2,b^^〜_2)が主にボソン対に崩壊することを、具体的な例で示した。 2. スクォークの相互作用は、一般に大きな量子補正を受ける。そのうち、QCDによる補正が最も重要と予想される。我々は、上で扱ったスクォークのボソン対への崩壊のうち、ヒッグス粒子への崩壊に対するQCD補正を計算し、その効果が確かに大きいことを示した。この結果により、スクォークの2体崩壊へのQCD補正の式は全て求められた。ただし、パラメータの値によっては、既知の表式が使えないことがあり、次年度はこの問題の解決法を考察する予定である。 3. 超対称粒子の一種であるニュートラリーノの崩壊によって出てくる2つのレプトンの運動量を用いて、ニュートラリーノの質量が精密に測定できることが知られている。我々は更に、これらのレプトンの運動量分布の精密測定から、超対称粒子のパラメータに対するより詳しい情報が得られることを示した。この成果は現在投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Bartl et al.: "Bosonic decays of t_2 and b_2" Physics Letters B. 435. 118-124 (1998)
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[Publications] A.Bartl et al.: "SUSY-QCD corrections to stop and sbottom decays into Higgs bosons" Physical Review D. (予定). (1999)