1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740107
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石塚 成人 筑波大学, 物理学系・計算物理学研究センター, 助手 (70251030)
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Keywords | クォークの質量 / πメソンの崩壊定数 / 格子場の理論 |
Research Abstract |
交付申請書にある様に、この研究ではK中間子のBパラメータに於ける格子上での演算子と、連続理論の演算子間の繰り込み補正の問題の解決を目的とした。 繰り込み補正は現在においても摂動論を用いて行なわれている。しかし、現在の格子上の数値計算では量子色力学の相互作用係数は非常に大きく、1に近く、摂動論の適応が問題視されている。そこでこの研究では、この繰り込み補正を非摂動論的に求めることを目的とした。今年度は第一段階ととして、スタッガード・フェルミオンに於ける双対演算子の繰り込み補正値を求め、信頼性の高いクォークの質量及び、πメソン崩壊定数を求めた。 計算は以下の手順を踏んで行なわれた。はじめに比較的体積の小さい格子上で計算し、それを体積の大きい場合と比較し、有限体積効果を調べた。それにより、最終的に行なわれた計算には、0.1%以下の有限体積効果しがないことが分った。次にカイラル対称性による演算子間の恒等式を、計算結果が厳密に満たしているかどうが調べた。この計算では0.01%以下の破れしか無く、問題無い事を見た。更に計算方法を工夫して、1%の統計誤差におさえた。 最終結果は以下である。πメソン崩壊定数に関しては、格子上の演算子全てが5%以内で同じ崩壊定数を与え、更に統計誤差内で実験値を再現した。これにより、格子上での計算は無矛盾であることが分った。これは摂動論を用いた繰り込み補正では無かったことである。クォークの質量に関しても、新たな進展があった。摂動論を用いた繰り込み補正で求めた量よりも約20%大きい値が得られた。これにより、この量に関して、摂動論の適用は問題があり、今回の計算で求めた補正値を使うべきであることが結論された。 計算結果の解析とグラフ化は全て今回購入したパーソナル・コンピュータを用いた。これらの結果は国際会議Lattice'98で発表され、また、現在これらの研究成果を投稿雑誌に投稿中である。また、最終目標であるBパラメータに関しては、今年度の計算を元に現在準備中である。 研究発表: 1998年7月13日、国際会議Lattice'98(ボールダー、コロラド、アメリカ)(石塚)
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