1998 Fiscal Year Annual Research Report
放射線ビーム実験のための高偏極Xe固体生成システムの研究開発
Project/Area Number |
10740110
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40272661)
|
Keywords | 偏極固体ストッパー / 光ポンピング法 / 偏極緩和時間 / 原子核偏極 / 交差偏極法 / キセノン / 放射線ビーム / ガラスセル |
Research Abstract |
本研究では、圧力を制御しながら光ポンピング法を用いて高偏極Xe気体を順次生成し、クライオポンプ効果で固体生成部に送り、冷却固化することで高偏極固体の生成開発を目指す。研究計画に基づき、本年度は1)偏極固体生成技術の向上と、2)Rbトラップとバルブ付きガラスセルの開発を進めてきた。 1)では、従来のガラスセル封じ切り方式での偏極Xe固体特性(固体偏極度P_<solid>=1%,偏極緩和時間T_1=25分、気相から固相への偏極移行率D_<loss>〜27%)の中で、D_<loss>が小さくなる原因(残留Rb蒸気による気体偏極緩和、高温度領域(>140K)での固体偏極緩和)について究明し、冷却固化法を改良することでD_<loss>を70〜80%まで上げ、ほぼ同量のXeP_<solid>〜5%,偏極緩和時間T_1>50分の偏極Xe固体を得ることに成功した。このD_<loss>向上は本研究で提案する固体生成方式でも重要な意味を持つ。2)ではRbトラップとバルブ付きガラスセルを作製し、従来のセル製作真空系に改良を加え、バルブ付きセルを取り付けRbをセル内部に封入した。今回のバルブには、テフロンO-リング付きガラスバルブをコーティングして使用した。バルブ選択については実験データを見ながら今後も検討していく。このバルブ付きセルを用い、これまでRb蒸気中(セル温度が370K)でも、そのO-リングが十分耐久性を有すること、ダミーガスとして窒素ガス(数百torr)を数回入れ換えても、セルの内部状態が変化しない(Rbのレーザー光吸収が観測出来る)ことを実証した。現在は、前述のバルブ付きセルに気体Xeを詰め、気体の偏極生成や緩和時間の測定、更にXe気体の入れ換えを行い、まずはバルブ付きセルが偏極セルとして十分に使用可能なことを示すための実験を進めている。
|