1998 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロニウム・レーザー冷却のための陽電子蓄積法の開発
Project/Area Number |
10740126
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
汲田 哲郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30271159)
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Keywords | レーザー冷却 / ペニング・トラップ / 陽電子ビーム |
Research Abstract |
本研究では、パルス化陽電子ビームを生成するための、陽電子蓄積の新手法を開発している。これは、最終的にはポジトロニウムのレーザー冷却を目的としたものであり、陽電子の直流ビームを磁場中で一度蓄積し、パルス状電場によって引き出すことにより、周期25Hz、パルス幅10ナノ秒以下、陽電子1個以上/パルスの陽電子パルスを作り出すことを目標としている。この陽電子パルスを金属ターゲットに照射することにより、パルス幅10ナノ秒のポジトロニウムを生成することができ、冷却用レーザーと同期させることが可能となる。 蓄積装置は、ビーム軸方向に逃げようとする陽電子を電場のポテンシャル障壁で閉じこめ、ビーム軸と垂直方向に逃げようとする陽電子を磁場で押さえ込むという、ペニング・トラップを基礎として、入口付近にトラップ磁場と垂直な磁場をかけて陽電子の運動量方向を回転させることにより、進行方向運動量を減少させ、結果的に陽電子が入口の電場ポテンシャル障壁を再通過しないようにして蓄積を行う。 平成10年度には、装置を実際に組み立てて、陽電子ビームの代わりに電子銃からの電子ビームを用いて、蓄積効果の実証を行った。結果として、蓄積装置を用いない時に比べて、パルスあたり12倍の電子数を観測し、蓄積型パルス化装置の有効性が確認された。この結果は平成11年3月末に広島大学で開かれる日本物理学会で発表される。 数値的には毎秒10^5個の直流陽電子ビームに適用すると、25Hz周期の10nsec幅パルスあたり陽電子0.012個に相当する。これでは目標値にくらべ、まだ不十分なので、来年度には電磁場の配置を改良して、さらに効率の高いシステムを制作し、実際に陽電子のパルスを行う予定である。
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[Publications] T,Kumita: "Laser Cooling of Ortho-Positronium" KEK Proceedings. 98-8. 188-193 (1998)
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[Publications] T,Kumita, T,Hirose: "A Slow, Polarized, Pulsed Positron Beam at Tokyo Metropolitan University" ICFA BEAM DYNAMICS NEWSLETTER. No.18. 22-24 (1998)
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[Publications] T,Kumita et al.: "Development of a Positron Trap for the Laser Cooling Experiment of Positronium" Applied Surface Science. 発表予定. (1999)