1998 Fiscal Year Annual Research Report
人工ダイヤモンドの重イオン粒子に対するエネルギー阻止能の研究
Project/Area Number |
10740127
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高島 健 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10298193)
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Keywords | 放射線検出器 / エネルギー損失 / 人工ダイヤモンド |
Research Abstract |
本年度は人工ダイヤモンド検出器を制作・購入するとともに、検出器の基本特性の検討を行った。期待するエネルギー分解能が非常に高いため、検出信号が周囲ノイズに対して非常にセシシティブである。このため、検出器専用に特殊な変更を加えた前置増幅器回路を作成した。これらの装置を用いた実験の結果、真空チャンバー内でAm放射線源を用いたα線の測定では、常温でエネルギー分解能が約0.5%と非常によいデータが得られた。しかし、この性能はα線の飛程から考えると、検出器表面数十μmの状態しか見ていないことになる。そこで、十分なエネルギー分解能が得られている検出器に対して、放射線医学総合研究所にある重粒子加速器を用いた性能試験を行った。照射核種は炭素以上で、幾つかめエネルギービームを当てることができた。この実験に先立ち、人工ダイヤモンド中でのエネルギー損失を以下のようにして簡単に見積もった。 ・Ahlenによるエネルギー損失の式を用い、密度情報を除いてパ与メーターに若干変更を加えて利用する。 ・密度については、購入先の添付データにより約3.51g/cm^3であることがわかっておりこの値を用いた。 ・ε値については、α線によって得られた値を参照した。 実験の結果、予想値より実験値の方が10%ほど大きいことがわかった。パラメーターの設定、特に物性定数に対してもう少し検討が必要であることがわかる。また、重粒子に対して十分な信号が得られており、放射線検出器 して十分機能していることがわかった。 数種類の核種とエネルギーデータを得ており、今後は得られた詳細な解析結果より、人工ダイヤモンドに対する半実験的なエネルギー損失の式を求め、0.5%以内の精度を目指している。常温でのテストのみであったが、高温下での検出器性能の特性を評価し、周囲環境条件の厳しい場所や宇宙空間での測定装置としての開発を目指す。
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