1998 Fiscal Year Annual Research Report
質量数80領域での質量異常性とrp過程による元素合成
Project/Area Number |
10740128
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Research Institution | Nishinippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田原 厚子 西日本工業大学, 工学部, 助教授 (30264013)
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Keywords | 核構造 / ベータ崩壊 / rp過程 |
Research Abstract |
質量数70から80領域の陽子過剰核はrp過程の元素合成モデルにおいて、最近注目されはじめた。このモデルは陽子捕獲反応とベータ崩壊が競合しながら陽子ドリップライン近傍を元素合成が進んでいくもので、X線バーストへの現象をうまく説明してきた。これまで、この過程では^<69>Brが存在しないために、^<68>Seの近傍核で元素合成は終了すると考えられてきた。しかしながら、近年、2p捕獲反応も考慮することで、質量数100領域までの原子核の合成が可能となるという計算結果が報告された。 この領域の陽子過剰核は安定核同士の反応で生成することは難しく、詳しい核データが実験的に得られていない原子核が数多く存在する。rp過程の計算では、原子核の寿命、質量、陽子捕獲反応率等のデータが不可欠であり、多くは理論の計算値に頼っている。従って、陽子過剰核のベータ崩壊を測定して、これらの原子核の構造を調査し、これをrp過程の元素合成モデルに適用するための実験を行うことにした。 今年度は生成した目的核を測定位置まで高速で搬送する高速テープ搬送装置を製作した。また、ベータ線を測定するための検出器系の準備を行った。陽子過剰核の多くはベータ^+崩壊するため、検出器内で陽電子が止まるときに同時に2本の対消滅ガンマ線を放出する。このガンマ線のためにベータ線のエネルギーを正確に決定するのは困難である。そこで、プラスチック検出器でベータ線を測定し、その周囲にヨウ化ナトリウム検出器を配置する測定器を考案した。後者の検出器に対消滅ガンマ線が2本観測されたときのみ、ベータ線のデータとして採用することで、より正確なベータ線の最大エネルギーが求まることが期待される。 来年度は目的核をビーム照射位置から高速テープ装置まで搬送するヘリウムジェット装置を開発し、これらを用いて、陽子過剰核のベータ崩壊の実験を行う予定である。
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[Publications] A.M.El-Badry,T.Kuroyanagi,A.Odahara et al.: "Recoil distance half-life measurements of the excited states in ^<145>Sm" Eur.Phys.J.A.3. 133-138 (1998)
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[Publications] J.H.Ha,J.C.Kim,A.Odahara et al.: "High-spin states in odd-odd ^<168>Lu" Eur.Phys.J.A.1. 247-248 (1998)
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[Publications] A.Odahara,Y.Gono,S.Mitarai et al.: "High-spin isomer and level structure of ^<145>Sm" Nucl.Phys.A. 620. 363-384 (1997)
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[Publications] X.H.Zhou,E.Ideguchi,A.Odahara et al.: "Study of high-lying states in ^<147>Eu" Z.Phys.A. 358. 285-286 (1997)
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[Publications] M.Shibata,A.Odahara,S.Mitarai et al.: "Anomalous Q_<EC>-Values of T_Z=1 Nuclei,^<80>Y,^<84>Nb and ^<88>Tc" J.Phys.Soc.Jpn. 65・10. 3172-3174 (1996)
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[Publications] A.Odahara,Y.Gono,S.Mitarai et al.: "The β-decay of ^<88>Tc" Z.Phys.A. 354. 231-232 (1996)