1998 Fiscal Year Annual Research Report
非線型誘電スペクトロスコピーの構造相転移研究への応用
Project/Area Number |
10740147
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩田 真 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40262886)
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Keywords | 非線型誘電率 / リラクサー強誘電体 / マイクロクラスター / ペロブスカイト / インコメンシュレート相転移 / ダイポールグラス |
Research Abstract |
結晶の相転移において、ブリュアンゾーンの中心(k=0)以外の点で誘起される反強誘電性相転移、不整合相転移及びダイポールグラス相転移を調べるプローブとして分極を電場で展開した3次の係数である非線型感受率χ_3の測定は、大変有用であることが知られている。本研究の目的は、非線型誘電率測定を構造相転移を調べるプローブとして用いて、線型誘電率測定では観測が困難な反強誘電性相転移や不整合相転移の点近傍での秩序変数の感受率を測定し、それらの相転移のダイナミクスを明らかにすることである。 一方、リラクサニ強誘電体と呼ばれている複合ペロブスカイト型強誘電体は、非常に大きな誘電率(ε〜10^4)を示し、その大きな値は広い温度領域でほとんど変化しないことが知られている。この様なリラクサの特異な誘電特性は、結晶中にできる微小極性領域の自発分極の運動と関係があることが経験的に指摘されているが、今日までに物理的に明解な説明はなされていない。リラクサー強誘電体の尚一層の高性能化のためには、特異な誘電特性についての詳細な検討が必要不可欠である。本年度はリラクサー強誘電体における誘電特性を解明する手がかりを得ることを目的とした。 そのために、高性能電気炉を購入し、リラクサー単結晶試料の育成及び熱処理をおこなった。得られた試料を用いて、非線型感受率χ_3の測定を広い温度領域で行った。その結果、従来、Crossらによって予測されていた極性分域の熱ゆらぎが、リラクサー強誘電体の特徴的な誘電応答を説明するために本質的な役割を果たしていないことを明らかにした。
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[Publications] Y.Ishibashi and M.Iwata: "Morphotropic Phase Boundary in the Solid Solution System of Perovskite-type Oxide Ferroelectrics" Jpn.J.Appl.Phys.37・8A. L985-L987 (1998)
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[Publications] M.Iwata, H.Orihara and Y.Ishibashi: "Phenomenological Theory of the Linear and Nonlinear Dielectric Susceptibilities in the Type-II Incommensurate Phase" J.Phys.Soc.Jpn.67・9. 3130-3136 (1998)
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[Publications] M.Iwata et al.: "Nonlinear Dielectric Response in Relaxor Ferroelectrics (1-x) Pb (Mgy_<1/2>Wy_<1/2>) O_3-xPbTiO_3" Jpn.J.Appl.Phys.37・9B. 5413-5417 (1998)
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[Publications] M.Iwata et al.: "Dielectric Study of the Order-Disorder System in KBr_<1-x> (No_2) x Mixed Crystals" J.Phys.Soc.Jpn.68・1. 279-283 (1999)
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[Publications] J.Hlinka, M.Iwata and Y.Ishibashi: "Phenomenological Description of the Sevenfold phase of Betain Calcium Chloride Dihydrate I. Coupling the electric field" J.Phys.Soc.Jpn.68・1. 126-133 (1999)
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[Publications] Y.Ishibashi and M.Iwata: "A Theory of Morphotropic Phase Boundary in Solid Solution System of Perorskite-type Oxide" Jpn.J.Appl.Phys.38・2. (1999)