1999 Fiscal Year Annual Research Report
非線型誘電スペクトロスコピーの構造相転移研究への応用
Project/Area Number |
10740147
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩田 真 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40262886)
|
Keywords | 非線型誘電率 / スペクトロスコピー / 構造相転移 / リラクサー / 液晶 / 相転移 / 誘電体 / 強誘電体 |
Research Abstract |
物質に電場を印加した時、電場の高次項に対する応答(電束密度)と電場との比例係数を非線型誘電率という。本研究の目的は、非線型誘電率の測定装置を開発し、本研究で開発した装置を構造相転移研究のプローブとして応用することである。本研究では、リラクサ強誘電体および強誘電性液晶における電場の3次の応答である3次の非線型誘電感受率ε_3(ω,ω,ω)の測定を周波数領域500Hzから5kHzで行った。リラクサ試料には、Pb(Mg_<1/2>W_<1/2>)O_3-PbTiO_3混晶セラミックおよびPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3単結晶を用い、強誘電性液晶の研究ではMHPOBCを用いた。 実験の結果、リラクサでは誘電的な非線型性が通常の強誘電体に比べて非常に強いこと、500Hzから5kHzの周波数領域に分散が存在すること等が確認された。また、リラクサ強誘電体の特徴的な誘電的性質は結晶中に形成されている極性クラスターの熱揺動によることが指摘され、幾つかのモデルが提案されている。本実験によって、このクラスタの運動に関し、熱揺動だけでなくクラスタ間の相互作用が重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究においてリラクサPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3単結晶試料の育成にも成功している。 一方、強誘電性液晶MHPOBCでは、SmA-SmCα^*相転移点近傍における測定によって、この相転移は2次転移であり、少なくともSmCa^*相は強誘電相でないことを明らかにした。 本研究により、非線型誘電率の測定が構造相転移研究の強力な手段となり得ることが示された。
|
-
[Publications] 岩田 真(Makoto Iwata): "Phenomenological Theory of the Linear and Nonlinear Dielectric Susceptibilities in the Type-II Incommensurate Phase"Journal of The Physical Society of Japan. 67・9. 3130-3136 (1998)
-
[Publications] 岩田 真(Makoto Iwata): "Nonlinear Dielectric Response in Relaxor Ferroelectrics (1-x)Pb(Mg_<1/2>W_<1/2>)O_3-xPbTiO_3"Japanese Journal of the Applied Physics. 37・9B. 5413-5417 (1998)
-
[Publications] 岩田 真(Makoto Iwata): "The Linear and Nonlinear Dielectric Susceptibilities in the Incommensurate Phase"Ferroelectrics. 217. 163-170 (1998)
-
[Publications] 折原 宏(Hiroshi Orihara): "Nonlinear Dielectric Constant in Relaxor Ferroelectrics"Ferroelectrics. 217. 297-306 (1998)
-
[Publications] 折原 宏(Hiroshi Orihara): "Nonlinear Dielectric Measurements of Antiferroelectric Liquid Crystals"Liquid Crystals and Molecular Crystals. 328. 265-273 (1999)
-
[Publications] 岩田 真(Makoto Iwata): "Nonlinear Dielectric Response in Relaxor Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3 Single Crystal"Journal of Korean Physical Society. 35. 51513-51516 (1999)