1998 Fiscal Year Annual Research Report
低次元系における多光子励起による高密度電子ホール対状態の理論的研究
Project/Area Number |
10740150
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 聡 山口大学, 工学部, 助教授 (80212009)
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Keywords | 多光子励起 / 高密度電子・ホール対 / 強相関電子系 / 低次元性 / 光による物性の制御 / 新しい物質相の開発 / 多体効果 / 光誘起超伝導 |
Research Abstract |
近年、多光子励起による、物質の性質の制御、さらには新しい物質相の創成といった発展が期待されている。特に強相関低次元物質においては、そのユニークな性質が、高密度の電子・ホール対と絡み合い、新しい物質相をもたらす可能性がある。 強相関電子系の多光子励起状態を直接求めることは難しく、現在のところ信頼できる方法はない。そこで、以下のような数値的方法を開発した。まず、強相関電子系に結合する光子の自由度もとりいれたハミルトニアンを考え、一定数の光子が、電子系の基底状態と結合した状況を考える。電子・光子結合の結果、電子系にいくつかの光子が吸収され、一連の多光子励起状態が形成される。このようにして、電子・光子系の基底状態を求めてやることにより、電子系の多光子励起状態を求めることができる。 この方法により、多光子励起状態を数値に求める数値計算プログラムを作成した。多光子励起状態を記述するために、reference状態を工夫した、multi-reference single and double configuration interaction (MRCISD)法を用いた。この方法を1次元ハバードモデルに適用した。この方法では、電子系の基底状態と結合する光子数を一定にすることが困難であり、その結果、単純に電子・光子系の基底状態を求めると、光子数がゼロの非物理的状態が得られてしまう。しかし、この難点は、電子・光子状態のエネルギー領域を限定することにより、克服することができる。このようにして求めた波動関数において大きなCI係数を持つ項を調べることにより、一連の多光子励起状態が計算できていることが明らかになった。MRCISD法においては、十分に電子相関効果をとりいれることができないために、CI法のかわりに、coupled-cluster法を用いた数値計算プログラムを、現在作成中である。
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Research Products
(1 results)