1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740151
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
欅田 英之 上智大学, 理工学部, 助手 (50296886)
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Keywords | コヒーレントフォノン / ポンプ・プローブ法 |
Research Abstract |
本年度に得られた成果は大きく分けて以下の2つである。 1. コヒーレントフォノンの生成を確認するための測定系を完成させた。 サンプルにはフォノンの周期等がこれまでよく調べられているビスマスを用いた。また反射型ポンプ・プローブ法を測定方法として使った。反射率変化は10^<-4>〜10^<-5>と非常に小さいため十分なS/N比を得るためにいくつかの工夫を行った。 ・現在我々が使用している光源(モードロックチタンサファイヤレーザー)のパルス幅はフォノン周期に比べて十分短いとはいえない。より明瞭に反射率変化を観測するためにプリズム対を使ってパルス幅の圧縮を行った。 ・プローブ光を検出する際にポンプ光の散乱が入り込んでしまい、S/Nを悪化させる。そのため偏光配置や信号処理に工夫を凝らし、ポンプ光の影響を取り除いた。 このような手順を踏むことによって、コヒーレントフォノンが生成されその後減衰していく様子を観測することが可能になった。 2. コヒーレントフォノンの増強と抑制を観測した。 1.で完成させた測定系を使い、ポンプ光を2個のパルス列にした場合のコヒーレントフォノンの発生の様子を調べた。パルス間隔がフォノン周期の整数倍の時にはプローブ光の反射率変化は2倍に増強され、半整数倍の時には抑制された。 これらの結果はこれまでなされてきた研究と一致し、フォノン振幅がパルス間隔によって制御されていることを示唆している。しかしサンプル内の別々の領域から得られた信号が検出器で重ね合わせられても同様な結果が得られると考えられるため、物理的起源を明らかにするための実験方法を現在工夫している最中である。
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