1999 Fiscal Year Annual Research Report
四重極近藤格子系における非フェルミ液体の磁場圧力効果
Project/Area Number |
10740160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田村 裕幸 東京大学, 物性研究所, 助手 (60282604)
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Keywords | 非フェルミ液体 / 非クラマース二重縮退 / 四重極近藤 |
Research Abstract |
含希土類ホイスラー合金(立方晶金属間化合物)PrInAg_2は、少なくとも(比熱、電気抵抗の測定により)50mKまではorderが見られないないが、電気抵抗が低温で一旦停留値をとるもののおよそ2K以下で更なる降下をすることがYatskarらによって報告されている。また、比熱と中性子非弾性散乱の結果からPr^<3+>の結晶場の基底状態が非磁性非クラマース2重項Γ_3であることが確認されている。これらのことから、Yatskarらはこの物質が四重極近藤系の格子系の初めての例ではないかと主張している。 本研究ではPrInAg_2の多結晶について希釈冷凍機を用いてまず常圧無磁場中での電気抵抗の測定を行った。この物質の低温での電気抵抗の変化は非常に小さく(Δρ/ρ【approximately equal】0.02)、これまでその温度変化の関数形は定かではなかった。しかし今回の精密測定により50mK〜1Kにおいて電気抵抗が+logT依存を示していることを初めて明らかにした。これは、四重極近藤系の希釈系の最有力候補であるU_xTh_<1-x>Ru_2Si_2(x【less than or equal】0.07)の低温(〜10K)での電気抵抗に非常に良く似ており関連性が期待できる。続いて最低温(40mK)における磁気抵抗の測定をこの物質で初めて行い、0.01T〜1Tの比較的弱い磁場下での磁気抵抗の振る舞いが+logH依存を示していることを明らかにした。更に6T,12Tの磁場下では、低温側で電気抵抗が一定値に落ち着く傾向が観測され、その温度は磁場が増大するに従い上昇することが確認された。これらの結果は既にPhysica Bに投稿され審査が済んだところである。 同様に、電気抵抗の静水圧依存(〜8GPa)も4.2K以上で調べたが、その変化は加圧に対し単調減少であり、通常常磁性金属のそれとかわるところは無かった。今後は引き続き4.2K以下での測定を希釈冷凍機を用いて行う予定である。
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