1998 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波伝搬中の高温超伝導薄膜における2次元位相コヒーレント転移
Project/Area Number |
10740184
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
河内 正治 岩手大学, 工学部, 助手 (10271842)
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Keywords | 超伝導体 / グラニュラー / 薄膜 / 秩序化 / コヒーレント相転移 / 交流磁化率 / マイクロ波 / 2次元 |
Research Abstract |
本研究ではグラニュラーな超伝導薄膜に擾乱として高周波電流を流し、その超伝導秩序化を調べるために実験を進めている。本年度は主に交流磁化率測定システムの構築、そして酸化物超伝導薄膜の交流磁化率測定及び高周波を流した場合の予備的な実験を行った。 本研究で用いる実験システムは、高周波電流の導入の容易さなどを考慮して、冷凍機による試料冷却法を用いた。高周波は、冷凍機外部から試料まで極細同軸ケーブルによって導入し、実際に試料を透過した高周波レベルを調べるために、冷凍機外部へ導出する同軸ケーブルを備えている。また、交流磁化率は相互誘導法によって測定した。研究対象としたEuBa_2Cu_3O_7超伝導薄膜は、数百Åサイズのc軸配向グレイシによって構成されている。測定ではまず超伝導薄膜の交流磁化率測定を行い、薄膜に対しても高感度測定が可能であることを確認した。また用いた薄膜は90Kで超伝導転移が生じていることを確認した。この温度はEuBa_2Cu_3O_7の超伝導臨界温度92Kにほぼ一致する。次に、高周波を伝搬させた場合(入カ電カによる試料の加熱をさけるため-10dBm以下)の測定を行った。その結果、高周波を流さない場合の結果とほぼ一致しており、擾乱によって低下が予想されるグレイン間超伝導転移点は、グレイン内転移とほぼ同じ温度で生じている。この結果からこのレベルの高周波では、超伝導秩序に影響を及ぼさないことがわかった。高配向超伝導薄膜は、グレイン間の結合が非常に強く、高周波による擾乱に対しても、グレイン間の超伝導コヒーレンス性はほとんど乱されていないと推測される。今後、グレインの結晶配向性に乱れを入れた薄膜、そして膜厚数百Åの薄膜について観測していく予定である。
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