1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740193
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉森 明 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90260588)
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Keywords | 溶緩和 / 非線応答 / 誘電飽和 / 数密度 / 動的密度汎関数 / 相互作用点モデル / 射影演算子法 / 非線形ランジュバン方程式 |
Research Abstract |
溶液分子の動的性質を統計力学を使って、理論的に研究した。具体的には、 1.(1)溶媒和における非線形応答について現在分かっている知見をまとめた。その結果、静的な場合に非線形応答が小さいのは、溶媒分子の数密度の緩和が重要であることが分かった。つまり、溶質の電荷が増えると誘電飽和が起こるが、溶媒分子が溶質分子に近づくことにより、溶質分子の周りの数密度が増え、分極率は大きくなる。これと誘電飽和が互いに相殺して、非線形応答が弱くなる。この静的な場合の事から、動的な場合には、数密度の緩和が分極の緩和より遅い時に、強い非線形応答が期待できる。実際、小さい溶質の計算機シミュレーションはこの様な非線形応答を示している。 (2)以上の知見を基に実際の実験で非線形応答が測定される可能性を吟味した。特に、溶媒和の分布に関して非線形応答がどの様な効果を持つかを考えた。最近の分光学的な実験で得られているスペクトルのバンド幅がピークより遅く緩和するという結果を、昨年つくったモデルと比較検討した。その結果、数密度と分極の非線形効果が充分強く、さらにスペクトルと溶媒和の分布が一致していれば、この実験は非線形応答を示していると言えることがわかった。 2.昨年研究した非線形ランジュバン方程式と動的密度汎関数法の関係を使って、動的密度汎関数法を分子液体に拡張した。分子液体は、原子間距離や角度が変わらない剛体の相互作用点モデルを使った。特に2原子分子について具体的な表式を得た。さらに、得られた表式が、充分時間が経った所で正しい平衡状態を与える事を、H定理を証明することにより示した。また、原子間距離の制限をなくして、分子をバラバラにする極限を取ると、単純液体の動的密度汎関数法と一致することも確かめた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akira Yoshimori: "Nonlinear Langevin equations and the time dependent denisty functional method"Physical Review E. 69・6. 6535-6540 (1999)
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[Publications] Akira Yoshimori: "A Time Dependent Density Functional Method for the Interaction Site Model"Journal of Molecular Liquids. (印刷中).