1998 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅法とESR法を組み合わせた表面常磁性中心の研究
Project/Area Number |
10740201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 晴雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60235059)
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Keywords | 陽電子消滅 / ESR / 表面 / 常磁性中心 / 紫外光照射 / 不対電子 / ポジトロニウム / スピン交換反応 |
Research Abstract |
酸化物微粒子に陽電子を入射すると、微粒子間にポジトロニウムが生成する。このポジトロニウムは、消滅するまで、微粒子表面と衝突をくり返すため、表面プローブとして使用できる。また、ボジトロニウムは不対電子とスピンを交換できるため、表面常磁性中心の検出に応用できる。 本研究では、酸化物超微粒子表面に、低温で紫外光照射を行い、表面常磁性中心を生成するために、まず、低温で照射可能なクライオスタットを用意した。窓材には、200nmまでの紫外光を透過する石英ガラスを使用した。さらに、陽電子消滅法に用いる陽電子線源も、石英ガラス上に作ったため、陽電子の入射と同じ側から、紫外光の照射が可能になり、照射の効果を効率よく検出できるようになった。このクライオスタットを用いて、低温で紫外光照射した酸化物超微粒子中の陽電子寿命の測定を開始した。 また、カボシル、アルミナ、熱処理したシリカエアロゲルに対して、これまで行われていなかった、低温での1次元2光子角度相関の測定を行った。その結果、全てのサンプルで、低温での陽電子照射によって、表面常磁性中心が生成し、微粒子間に生成したポジトロニウムが、それとスピン交換反応を起こすことがわかった。ポジトロニウムと常磁性中心の、スピン交換以外の化学反応は見いだされなかった。このことは、シリカエアロゲルについては我々の過去の研究でわかっていたか、カボシル、アルミナに対しては始めての測定である。
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