1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 誠 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (40243109)
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Keywords | 核共鳴散乱 / 拡散運動 / ナフィオン / 放射光 / メスバウアー効果 |
Research Abstract |
鉄クラスター貯蔵物質フェリチンのモデル物質であるナフィオンの核共鳴準弾性・非弾性散乱の研究を行っている。ナフィオンはフルオロカーボン系のイオン交換膜で、その側鎖のスルホン酸基で囲まれた10Å程度の領域に陽イオンを取り込むことが知られている。このとき、この領域内でイオンがどのような運動を行っているかを調べるために、Feイオンをプローブとしてナフィオンフィルム内にドープした。このときナフィオン内ではFeイオンと水とが存在しているが、Feイオンがどのような状態で存在しているかを調べるためにメスバウアー効果測定を行い、水和したFe2+として存在していることを確認した。この試料に対して大型放射光施設Spring-8の核共鳴散乱実験ステーションBL09XUで室温での測定を行った。従来、Feイオンの拡散運動状態はメスバウアー効果を用いて測定されていたが、シフトさせることの出来るエネルギー範囲がある程度限定されることから室温での測定は不可能であった。これに対して、放射光核共鳴散乱法では、エネルギーはモノクロメータにより充分広い範囲まで変化させることが出来るため、室温での測定も可能となる。拡散運動を行っている系についての核共鳴散乱の理論は、1960年にSingwi等によって発表されているが、限定された領域内での拡散を取り扱えるように核共鳴準弾性散乱の理論的取り扱いを拡張した。現在、測定結果の詳細な解析を行っているところである。今後の展開としては、ナフィオン内部のFeイオンとともに取り込まれる水の量を制御し、Feイオンの運動の水の量に対する依存性、さらに温度依存性についても研究を行っていく。
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