Research Abstract |
今年度の研究においては,先ず,四次のRunge-Kutta法を用いた古典軌道モンテカルロ計算機コードを開発し,いくつかの改良,計算パラメータの最適化および種々の予備試験を経て,この計算機コードの計算精度,計算機時間が本研究遂行に十分な性能を持つことを検証した。 次に,この古典軌道モンテカルロ計算機コードを用い,衝突速度v=0.1a.u.において多価イオン-水素原子衝突における電子捕獲の積分断面積を計算し,その荷数依存性(q=5〜92)について調べた。次に,電子捕獲断面積の標的依存性を調べるために,擬水素様といえるアルカリ金属原子(Na,K,Cs)を標的とした計算も行った。 今回の計算結果は実験結果と良く一致しており,同じ古典的ではあるが障壁透過モデルでは説明できない傾向は,今回の計算には完全に含まれ,障壁透過モデルでは完全に無視される動力学的効果によって説明されうることが示唆された。 更に,近年実験的に大きく注目され始めている励起配向水素原子標的に対する電子捕獲の微分断面積と積分断面積の計算を行った。この計算結果から,標的が空間的に配向している場合,積分断面積は配向角に依存して著しく変化することを予見した。また,これらの特徴は微分断面積の中に特徴的に現れることを示すと同時に,その実験的検証の方法や可能性についても調べた。 これらの結果は,裏面の研究発表の他に,下記の物理学会,国際会議においても報告予定である。(受理済み)電子捕獲過程に対するCIMC計算,日本物理学会,広島大1999.3 ‘Classical Trajectory Monte Carlo Simulations for Capture Processes:I.Integral Cross Sections',ICPEAC XXI,仙台市1999.7 ‘Classical Traiectory Monte Carlo Simulations for Capture Processes:II.Differential Cross Sections',ICPEAC XXI,仙台市1999.7
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