1998 Fiscal Year Annual Research Report
プレート境界地震はどこで起こっているのか? -三陸沖の場合-
Project/Area Number |
10740214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日野 亮太 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00241521)
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Keywords | プレート境界地震 / 海底地震探査 / 地震波速度構造 / 広角反射波 / 日本海溝 / 三陸沖 |
Research Abstract |
本研究では,従来「プレート境界地震」と呼ばれているものが,地震波速度構揚から「プレート境界」と考えられる面上で実際に発生しているかどうかを,プレート境界近傍の詳細な地震波速度構造と震源の空間分布を解明することを通して検証することを目的としている.対象領域としては,20km以下の深さにおいて活発なプレート境界地震と思われる地震活動が活発である,日本海溝北部陸側斜面域(三陸沖)を選定した. 本年度は,プレート境界近傍における地震波速度構造を詳細に解明するための研究を実施した.データとしては,1996年及び1997年に実施された,エアガン-海底地震計地震探査のデータを用いた.初動走時を用いた速度構造解析を行った結果,三陸沖の海底下の地殻構造は東北日本弧内陸部とほぼ同様なP波速度を持つ層から構成されることがわかった.続いて,観測記録中に現れる地殻深部からの反射波を用いた反射面イメージング手法の開発を行った.イメージング処理は,測線方向に構造の不均質がある場合にも適用可能なものを開発し,理論地震波形を用いた数値実験によりノイズフリーなデータに対しては良好な結果が得られることを確認した.さらに,観測データへの適用の第一段階として,記録上で反射波が現れる部分を読みとり,地殻構造モデル上へ投影することを試みた.その結果,プレート境界の位置と形状が明らかになるとともに,プレート境界の直下には別の明瞭な反射面が存在することが判明した.この反射面は一様に存在しないか,あるいは反射強度に空間的な変化がみられ,その分布とプレート境界近傍で発生する地震の震央分布には対応関係がみられるようである.来年度は,反射波形データを用いたイメージング処理を進めてプレート境界近傍での構造不均質の詳細を解明し,「プレート境界地震はどこで起こっているのか?Jという問題に迫る.
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