1998 Fiscal Year Annual Research Report
海洋観測データセットからの3次元的海洋流速場の診断計算
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10740225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤尾 伸三 東京大学, 海洋研究所, 助手 (00242173)
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Keywords | 海洋大循環 / 数値モデル / 粒子追跡 |
Research Abstract |
本年度は,研究の第1年目として,まず,数値モデルの入力となるデータセットの整備を行なった.水平解像度は緯度・経度ともに0.5度とし,鉛直には深層部分で250m厚となる29層を取る.大循環に関わる海洋構造を再現するには十分な解像度であり,一方で,計算機の記憶容量も500Mバイトを越えることから,妥当なものと考えている.モデルでは,地形,海上風応力,水温・塩分の3つを入力データとして必要とする.観測データを編集して作られたデータセットもうち1よく使われるものは地形は5分,風は2度,水温・塩分は1度の解像度である.特に風は海洋循環にとり値そのものよりもその勾配の方が重要であることから,今回はスプライン補間により2度データを0.5度格子へ割りふった. 実際の数値計算も行っており,計算自体に特に問題は見られない.現在,モデル中の不確定要素であるいくつかのパラメータに関してケーススタディを行い,その最適と思われる値を探しているところである. また,計算結果の応用として,日本ウナギの産卵場所を調べるため,うなぎの稚魚をpassiveなフロートと考え,過去に報告者が計算した流速場によりラグランジュ的な追跡を行った.日本沿岸に至る稚魚は北赤道海流域に分布していたことが確かめられたが,モデルの解像度などの点から定量的には問題点も多いことがわかった.これらは来年度行う高解像度のモデルでは解消されると期待できる.
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