1999 Fiscal Year Annual Research Report
地表面での熱・水の交換過程におけるサブグリッド効果の研究
Project/Area Number |
10740226
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
玉川 一郎 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40273198)
|
Keywords | サブグリッド / 相関 / 顕熱輸送 / 地表面 / 水平分布 / HEIFE |
Research Abstract |
昨年度収集した「黒河流域における地空相互作用に関する日中共同研究HEIFE」のデータのうち、同種の観測項目で多くの観測地点を選ぶことができる自動気象観測装置(AWS)の観測点のデータを解析した。相互の距離が、4.7kmから39.3kmに及ぶ5点間(地表面は砂漠か礫砂漠である)で、気温、水蒸気量、風速、日射、地表面温度の各々について相関解析を行った。日変化を含む時系列では、上記約40kmの範囲で、日射、地表面温度は0.9を超える高い相関を維持し、気温、水蒸気量は、0.8程度まで距離が離れるにつれ、相関が低下し、風速は10km程度で相関が0.6にまで低下する。これにより、特に風速について、1点の観測値が代表するスケールが、日変化と言えども10km程度と小さく、サブグリッドスケール現象の影響が大きいことがわかった。 また、地表面からの顕熱輸送量について、領域平均の気温、風速などの観測値を使って求めたものに対して、各観測点の観測値の領域平均からの偏差による寄与がどれくらいあるかを見積もった。観測精度を考慮し、日中のみのデータを用いて解析すると、風速の偏差の分散の寄与が大きく、10kmで約5%40kmでは10%強の負の寄与であることがわかった。また、気温と地表面温度の偏差はペアで表れるが、これも数%程度の寄与を示すことがわかった。 これらにより、HEIFE観測領域においては、特に風速がサブグリッドスケールでの場所毎の違いを示し、その顕熱に対する寄与は無視し得ない程度であること、また、それは距離毎に見積もった相関係数を用いれば推定が可能であることが示せた。しかし、特定の場所での診断的結果にとどまった。良質な多量のデータが必要である。
|