1998 Fiscal Year Annual Research Report
中間圏・熱圏大気大循環モデルの開発と計算機シミュレーションによる物理素過程の解明
Project/Area Number |
10740234
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
藤原 均 京都造形芸術大学, 芸術学部, 講師 (50298741)
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Keywords | 熱圏 / シミュレーション / 運動量輸送 / 大循環モデル / ジュール加熱 / 大気光 |
Research Abstract |
(1) 3次元中間圏・熱圏大気力学モデルによる上部熱圏風速変動のシミュレーション 高度約300kmの上部熱圏領域での運動量のバランスに着目し、太陽活動極大、地磁気擾乱時の風系と、太陽活動極小、地磁気静穏時の風系を経験モデルから初期値として与え、その後の風系の変化を調べた。これら2つのケースは、風系分布が大きく異なる例として選んだものであり、風の絶対値はもちろん、風速場中のシアーの大きさも異なる。上記の計算は、回転している流体として、超高層大気のパラメータを入れ、運動方程式のみを時間発展させて解いたものであるが、それゆえに、この領域特有の運動量バランスについて考えることが出来る。超高層大気の領域では、大気が希薄となることから分子粘性が大きくなり、これが運動量輸送に効果的となる。また、強い風、強いシアーを持つ風の場では、移流による運動量輸送の影響も大きくなることが確かめられた。 (2) 中間圏・熱圏大気大循環モデルの開発 これまで開発を進めてきた3次元中間圏・熱圏大気力学モデルを拡張し、熱圏領域での急激な温度、風速変動を同時に計算可能とする大循環モデルの開発を開始した。これにより、極域での局所的なジュール加熱に伴って生じる流れの場と、大循環的な流れの場の双方を再現することが出来ると考えられる。現在、それらの初期的な結果が得られている。 (3) 1次元熱圏化学モデルの検討 近年、光学技術の向上により大気光の2次元的な撮像が可能となった。このような観測では、視線方向に積分した光の強度分布が得られる。一方、大気モデルで計算される温度、風速といった物理量と、光のデータを直接比較することは出来ない。微量成分の計算では種々の化学反応を考慮し、ある状態の粒子数を導出出来ることから、光の放射率が推定可能となる。したがって、観測と数値モデルの結果をつなぐという観点からも化学モデルは重要である。ここでは特に557.7nm大気光についてその有効性が確かめられた。
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[Publications] 藤原 均他: "中間圏・熱圏大気モデルの構築〜エネルギー過程の記述〜" 第103回地球電磁気・地球惑星圏学会予稿集. (1998)
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[Publications] H.Fujiwara: "Non-linear effects on the momentum balances in the thermosphere" COSPAR abstract. (1998)
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[Publications] 藤原 均: "熱圏・中層大気のモデリング-化学過程をとおした熱圏・中間圏結合-" スペースプラズマのシミュレーション研究会講演集. (1998)