1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芦 寿一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40251409)
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Keywords | 岩石物性 / 造構応力 / 帯磁率異方性 / 脱水 / 圧密 |
Research Abstract |
本研究の目的は、通常の上載荷重に加え、造構応力による脱水・圧密を受けた堆積物・堆積岩のファブリックの異方性を帯磁率と音波速度を用いて明らかにし、造構応力による圧密を定量的に評価する基準を求めることにある。本年度は,野外よりの試料の採取とその周辺の地質構造の観察,および岩石物性と帯磁率異方性の測定を行った.陸上試料については,房総半島南端と御前崎の新第三系において地質調査を行い,約120の試料を採取した.採取試料の間隙率測定では両者がほぼ同じ値を示す結果を得た.これに対して,両地点の帯磁率異方性は大きく異なることが分かった.御前崎の試料が海域の比較的表層から得られた試料と類似するのに対して,房総半島の試料は現世付加プリズムのそれに近いことを確認した.また,より変形度の大きな場との比較のため,これまでに採取した四国および今回琉球の四万十帯の岩石を採取し,間隙率・帯磁率異方性の基礎データを取得した.海域試料については,申請者がかつて乗船した掘削航海(ODP第146,156節航海)の際に採取したオレゴン沖およびバルバドス海嶺付加プリズムの試料において,未測定の試料の間隙率・帯磁率異方性測定を行った.こららの結果は既に他の研究者から報告されている結果と矛盾しない.これらに加え,平成10年11月に実施した海洋研究所の淡青丸によるピストンコア・アシュラコア試料採取を行い,堆積直後の変形を被っていない試料を得た.これは,現世付加プリズムおよび陸上付加体堆積物の岩石物性・帯磁率のReference Sampleとして非常に有効である.11年度はこれらの試料を順次圧密変形させて間隙率・帯磁率異方性の測定を行う予定である.
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