1998 Fiscal Year Annual Research Report
ビトリナイト-フィッション複合温度計を用いた火砕流と断層の熱史評価
Project/Area Number |
10740240
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大平 寛人 島根大学, 総合理工学部, 助手 (60273918)
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Keywords | ビトリナイト反射率 / フィッション・トラック / 八溝山地 / 古地温 / 流体包有物 / 均質化温度 / ジュラ紀堆積岩 / 接触変成作用 |
Research Abstract |
ビトリナイト反射率とフィッション・トラックの短縮率を高精度で測定することによって断層や火砕流などの熱史を評価することを目的として研究を遂行した。本年度は北関東の八溝山地のジュラ紀堆積岩類からビトリナイトを抽出し、反射率の測定を行い、あわせてフィッショントラックの短縮率の測定を行っている。 ビトリナイト反射率は古地温に比例して高い値を示すが、八溝山地においてはその値が4.0〜12.0と大きく変化することが明かとなった。Barker(1994)による地熱系の式から算出された古地温は、286〜415℃と極めて高い値であったが、このような高い値の古地温の変化傾向は、堆積岩に貫入するかこう岩の分布と調和的であり、特に、薄片における黒雲母の再結晶度と密接に関係していることが明かとなった。 八溝山地中央部においてはかこう岩起源と考えられる石英脈が多数分布しており、流体包有物の均質化温度を測定することができた。均質化温度は石英脈形成温度の下限を意味するが、いずれも300〜330℃以上の高い値を示し、ビトリナイト反射率から推定された古地温を支持する結果となった。また均質化温度の高い試料ほどビトリナイト反射率も高い値を示す傾向が見られた。八溝山地においては、結果的に断層のせん断熱ではなく、かこう岩の貫入熱を捉えたわけであるが、反射率が5を超えるような高い古地温の領域、すなわち接触変成作用のような高温の温度領域においても、ビトリナイト反射率が古地温指標として極めて有効であることが示された。
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