1998 Fiscal Year Annual Research Report
ダイアモンドセルを用いたマントルかんらん岩の融解実験
Project/Area Number |
10740249
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 敬 東京工業大学, 理学部, 助手 (50270921)
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Keywords | ダイヤモンドセル / 超高圧 / レーザー / マントル / 中心核 / 融解 |
Research Abstract |
本年度はダイアモンドセル一式を購入し、さらに加熱実験を東京大学物性研の八木研究室にて行った。ダイアモンドセルは米国カーネギー研究所のものを基本設計とし、多少の改良を行って、さらに高圧を安全に発生できるようにした。本研究の目標圧力は1メガバールである。 物性研の八木研究室においては、おもに地球のマントルの近似物質であるオリビン組成について、融解実験を行った。ダイアモンドセルを用いた融解実験では、従来融点を決める実験はよくなされている。しかし、部分融解過程における液相固相の融解関係はほとんど実験がされておらず、未解決な点が多い。それはおもに加熱試料中の温度勾配が大きいことが原因と思われる。とくに近年地球深部のマントルと中心核の境界附近で、融解が進行中であることがわかってきた。この境界は地球内部のもっとも大きな物質境界であり、また熱境界である。超高圧下における融解関係を明らかにすることは、中心核マントル間の元素移動、マントルの化学的進化、プリュームの発生などマントル対流を駆動するメカニズムを議論する上で極めて重要である。 今回は試料を両面から加熱し、さらにレーザーのビーム径を広げるといった、加熱の点で工夫を行った。そして試料を回収し、東京大学鉱物学教室にて、透過電顕による観察を行った。その結果、1)ダイアモンドセルにおける急冷は比較的早いとされてはいるが、液相を完全に急冷できてはいないこと、2)急冷鉱物として、ペリクレースが低温部に晶出すること、がわかった。従来このペリクレースは安定相と認定されていたため、さまざまな混乱を生んでいた可能性が高い。来年度は、試料を鉄を含むオリビンに変え、急冷相と安定相を、化学的に判別させることが重要となる。
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