1998 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋高緯度域における氷床融解期の海洋表層水温の変動特性の解明
Project/Area Number |
10740254
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大河内 直彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00281832)
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Keywords | 北太平洋 / 高緯度 / 表層水温 / 氷床融解期 / アルケノン / U^K_<37> / 深海底堆積物 / 南極海 |
Research Abstract |
本年度の研究は、アルケノンの分析化学的な側面に焦点を当てた。まず実験室ブランクおよび回収率、再現性などのチェックを行い、それらが本研究計画におけるアルケノンおよびその他の脂質化合物の分析に十分耐えうることを明らかにした。さらに世界中のアルケノンを分析している研究室間においてインターキャリブレーションを行った結果、当研究室におけるアルケノンの抽出方法および分析方法の妥当性が確認された(Rosell-Melle et al.,1999)。その上で、サンプルとして北太平洋域で採取された懸濁態粒子中に含まれるアルケノンと、南極海表層堆積物中に含まれるアルケノンを分析した。前者は現在の北太平洋海水中におけるアルケノンの分布や挙動を知る上で重要な情報を提供するものと考えられ、後者は堆積物中に保存されているアルケノンが現在の表層水温とどのように関係しているのかについて確認を行うことができる。残念ながら北太平洋の懸濁粒子中にアルケノンはほとんど見出されず、アルケノンの分布や挙動に関する情報は得られなかった。また南極海(Australian sector)を緯度方向に極前線またぐ9地点(47°S-65°S)の表層堆積物の内、7地点からアルケノンが検出された。その不飽和度(U^K_<37>)は0.43から0.09まで緯度が高くなるにつれて減少し、生育水温に換算すると11,5°Cから1.5°Cまで低下している。その水温をが主として夏季の表層50m以浅のものに匹敵することから、アルケノンの生合成が主に夏季の表層50m以浅で行われていることが示唆された。南極海は本研究の研究海域である北太平洋と緯度的にはほぼ等しいので、この結果は北太平洋にも応用できるものと考えられる。
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[Publications] 大河内直彦・河村公隆: "古環境を復元する指標としてのバイオマーカー:太平洋における深海底堆積物を例として-" 地学雑誌. 107・2. 189-202 (1998)
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[Publications] N.Ohkouchi et al.: "Depth ranges of alkenone production in the Central Pacific Ocean" Global Biogeochemical Cycles. (in press). (1999)
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[Publications] N.Ohkouchi et al.: "Sulfur isotope records around Livello Bonarelli black shale at Cenomanian ???" Geology. (in press).