1998 Fiscal Year Annual Research Report
フーリエ変換赤外分光法による血清タンパク質の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
10740267
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
奈良 雅之 東京医科歯科大学, 教養部, 助手 (90301168)
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Keywords | FTIR / リポタンパク質 / 脂質 |
Research Abstract |
本研究では、フーリエ変換赤外分光法を用いて血清リポタンパク質の凝集のメカニズム及び、タンパク質と脂質との相互作用を解明することを目的とし、次のテーマに基づいて研究を推進した。 1. リポタンパク質各クラスの状態分析:リポタンパク質の超遠心分画VLDL、LDL、HDLを赤外分光法で測定し、その粒子を組成する脂質を赤外バンドを用いて解析した。リポタンパク質の赤外バンドの帰属を進めるために、構成する脂質を赤外分光法を用いて系統的に調べた。トリグリセリド、コレステロールエステル、リン脂質はそれぞれエステルCO伸縮振動バンドを持つが、二次微分演算を行うことにより、スペクトルパターンの違いを特徴づけることができた。これまでにVLDL粒子中のトリグリセリド、LDL中のコレステロールエステルをモデル化合物を用いて帰属することができた。次年度ではこの路線をさらに進めて、リポタンパク質亜分画の構造解析、リポタンパク質粒子を構成するアポタンパク質の構造解析を行う。 2. 高脂血症モデル動物血清の赤外バンドの解析:赤外分光法の臨床的な応用の意義を明らかにするために、高脂血症モデル動物(WHHLウサギ)血清(山形大学医学部第一内科の協力をとりつけた)を調べた。正常ウサギの血清とWHHLウサギ血清とでは、赤外スペクトルパターンがいくかの波数領域で異なり、高脂血症のマーカーとなるバンドを特定することができた。ヒト血清でもモデル動物血清と同じ傾向が見られ、高脂血症に対して赤外分光法が有用な方法になり得ることがわかった。次年度ではヒト血清の検体数を増やして、高脂血症、動脈硬化症などの疾患と血清中のリポタンパク質状態分布との関係を調べる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鍵 裕之: "微小領域での振動分光法とその地球化学研究への応用" 地球化学. 32. 45-69 (1998)
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[Publications] Nakagawara,S.: "Spectroscopic characterization and the pH dependence of bactericidal activity of the aqueous chlorine solution" Anal.Sci.14. 691-698 (1998)