1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740273
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大木 寛 広島大学, 理学部, 助手 (60241783)
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Keywords | 混合伝導体 / イオン伝導体 / 核磁気共鳴 / 核四極相互作用 |
Research Abstract |
Cu_6PCal_5X(Cal:S,Se;X:Cl,Br,I)は、高純度(5N)の原料を化学量論比に混合し、石英ガラス管に真空封管した後、各原料の融点および沸点を通過するときに温度をゆっくり変化させて、反応が段階的に促進するよう電気炉の温度調節プログラムを設定し、1〜2週間程度加熱することにより合成した。試料の同定は、研究室既設の理学電機社製RAD-Bシステムを用いて、粉末X線回折により行なった。これまでの研究では、不純物の混在が確認されることが多かったが、今回得られた試料はいずれも充分に純度が高く、精製の必要は認められなかった。それぞれの試料について、示差熱分析(DTA)を用いて、イオン伝導相への相転移の存在を調べたところ、Cu_6PS_5X(X:Cl,Br,I)では相転移温度は文献値に一致した。またCu_6PS_<e5>Brでは273K、Cu_6PSe_5Iでは277Kにそれぞれ相転移があることが分かった。さらに電子伝導性、イオン伝導性を調べるために、直流・交流電気伝導度の測定をそれぞれの試料について行なったところ、Cu_6PSe_5X(X:Br,I)は、電子伝導性が高いことが分かった。研究室既設の超伝導磁石(6.34T)およびMatec社製パルス型分光器を用いて、液体窒素温度から室温までの温度範囲について^<63>CuのNMRスペクトル測定を行なった。充分に帯域幅の広いストレージスコープを用いることにより、今回初めてスペクトルの全体を観測することに成功し、スペクトルは、500kHz程度の幅を持つことがわかった。来年度は、NMRスペクトル測定を引き続き行ない、イオン伝導機構などについて更に知見を深めていく予定である。
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