1998 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族-16族元素二重結合化合物の新規な発生法の開発とその光化学
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10740288
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斎藤 雅一 埼玉大学, 理学部, 助手 (80291293)
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Keywords | 高周期14族 / カルコゲン / 二重結合化合物 / 光反応 / オキサセレナアザスタンノール / スタンナンセロン / 1,3-ジケトン / ベンゾシクロブテノール |
Research Abstract |
本研究は、膨大な研究の蓄積があるケトンの光化学との対比に注目して、(1)高周期14族-16族元素二重結合化合物を光反応及び熱反応によって簡便に発生させる方法を開発し、(2)その光化学的挙動及び物性を検討することを目的としている。今年度は高周期14族元素の中でも研究例の少ないスズに注目し、本研究の前半部分である(1)に関する研究を行った。 まず1,3,5,2,4,6-トリカルコゲナトリスタンニナンに光照射することによるスズ-カルコゲン二重結合化合物の発生について検討したところ、反応は進行せず、原料が回収された。しかし捕捉剤としてシクロトリシロキサン共存下で光照射したところ、反応は複雑となった。このことより反応の中間に二重結合化合物が発生し捕捉生成物が生成するものの、反応条件下では不安定なため単離できなかったと考えられる。同様な試薬の組み合わせで熱反応も試みたが、結果は同様であった。そこで、新たなスズ-カルコゲン二重結合化合物の前駆体を探るべく、1,3,5,2,4,6-トリカルコゲナトリスタンニナンとニトリルオキシドとの反応を検討したところ、1,3,5-オキサカルゴゲナアザスタンノールが得られた。このうち1,3,5-オキサセレナアザスタンノールは、溶液中で原料とニトリルオキシドに解離することが分かった。この挙動は他の14族元素の1,3,5-オキサカルゴゲナアゾールと違い、解離の初期段階でスズ-セレン二重結合化合物、スタンナンセロンが生成していることを示している。 また比較の対称となるケトンの光化学に関しても研究を並行して行っている。特に研究例の少ない1,3-ジケトンの系において、光反応性が溶媒によって顕著に変化することを見いだした。またケトンの光反応によって四員環部分のC(sp^3)-C(sp^3)が異常に伸長したベンゾシクロブテノールを合成できることも見いだした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masaichi Saito: "“Solvent Dependent Photochemical Reactions of 3-(2-Methyl---"" The Journal of Organic Chemistry. 63. 9013-9018 (1998)
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[Publications] Masaichi Saito: "“Highly Strained C-C Bonds:3-(1'-Hydroxy-4'-isopropyl----"" Acta Crystallographica Section C. 54. 1938-1941 (1998)
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[Publications] Masaichi Saito: "“Solvent-dependent Stability of a Stannanethione"" CACS FORUM. 18. 30-32 (1998)