1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740299
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 正 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40230362)
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Keywords | 供与型 金属-金属間結合 / 白金-銀結合 / 白金-カドミウム結合 / 一次元鎖錯体 |
Research Abstract |
本研究は白金II価の錯体が配位子として他の金属イオンに配位し,供与型白金-金属間結合を生成した錯体を合成し,その錯体の性質を調べることを目的としている.配位させる白金II価錯体として当初予定していたアセチルアセトナト錯体,オキサラト錯体を用いた場合,供与型白金-金属間結合を生成させることができたが,比較的結合が弱く,白金-金属間結合距離の長い錯体のみが得られた. そこでより強い結合の生成が期待できる白金錯体として,炭素ドナーを有する配位子を配位した錯体,[Pt(phpy)_2],[Pt(thpy)_2],[Pt(Me)_2(bpy)](Hphpy=2-phenylpyridine,Hthpy=2-thienylpyridne),を用いて合成を行った.配位を受ける金属イオンとしてAg^+,[Cd(cyclen)]_<2+>を用いたところ,目的とした短いPt-M結合距離を持つ供与型白金-金属間結合を有する錯体の合成に成功しX線解析により構造を明らかにできた.Ag^+との反応により白金と銀が交互に積層した構造を持つ,一次元鎖錯体[Pt(phpy)_2][Ag(acetone)](ClO_4)および五核錯体[Pt(thpy)_2]_3[Ag(acetone)]_2(ClO_4)_2が得られた.Pt-Ag距離はそれぞれ2.678(2)-2.820(2)Åおよび2.675(1)-2.808(1)Åであり供与型Pt-Ag間結合としてはかなり短いものである.また,[Cd(cyclen)]^<2+>との反応により異核複核錯体[Pt(phpy)_2あ][Cd(cyclen)](ClO_4)_2および[Pt(Me)_2(bpy)][Cd(cyclen)](ClO_4)_2が得られた.Pt-Cd距離は2.639(1)Åおよび2.610(1)Åであり,かなり短い供与型金属-金属間結合と言える.このようなpt-Cd間に結合を有する錯体は今までに報告はなく本研究の錯体が初めての例である.
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[Publications] Tadashi Yamaguchi,Fumie Yamazaki,and Tasuku Ito: "Short Platinum to Silver Dative Bond and Its Application to the Construction of Extended Structure:Syntheses and Structures of Ag_2[Pt(ox)_2]・2H_2O and[Ag(H_2O)]_2[Ag_2(CF_3SO_3)_4][Pt(acac)_2]_2" J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1999・3. 273-274 (1999)