1998 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾したヨウ素架橋一次元複核白金錯体の構造と原子価状態の解明
Project/Area Number |
10740307
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
満身 稔 姫路工業大学, 理学部, 助手 (20295752)
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Keywords | ヨウ素架橋一次元複核白金錯体 / X線結晶構造解析 / 輸送特性 / 散漫散乱 |
Research Abstract |
ヨウ素架橋一次元複核白金錯体Pt_2(MeCS_2)_4Iが示す興味深い金属的伝導挙動と構造相転移の相関を調べる目的から新規にPt_2(RCS_2)_4I(R=Et,n-Pr)を合成し,単結晶化に成功した. Pt_2(EtCS_2)_4Iの結晶構造の温度依存性を調べたが,硫黄原子の位置の乱れは認められなかった.輸送特性を調べたところ,高温側から204 Kまでは金属的状態が保持されることが明かとなった. Spring-8の放射光を用いて振動写真を撮影したところ,金属的状態では格子(周期:-Pt-Pt-I-)の2倍周期の散漫散乱が観測され,一次元鎖内で…pt^<2+>-Pt^<2+>…X-Pt^<3+>-Pt^<3+>-X…または…Pt^<2+>-Pt^<3+>-X-Pt^<3+>-Pt^<2+>…X…で表される周期配列の存在が示唆された.さらに,半導体状態にある低温では2倍周期のブラッグスポットへと変化した.これは金属状態では電子の非局在化により鎖間での相関がなかったものが,半導体では電子が局在化し鎖間での相関が生じたためと考えられる.一方,Pt_2(n-PrCS_2)_4Iは358 K付近で一次相転移を起こすことがDSCにより分った.輸送特性を調べたところ,低温側から330 Kまでは典型的な半導体であるが,これより高温側ではエネルギーギャップの小さい半導体挙動を示した.室温での振動写真では,-Pt-Pt-I-の周期の6倍周期に相当するブラッグスポットが観測されたが,330 Kから一次転移温度までは-pt--Pt-I-の3倍周期のブラッグスポットとこのときの格子の2倍周期に相当する散漫散乱が観測された.さらに高温側では-Pt-Pt-I-の周期に相当するブラッグスポットとこのときの格子の2倍周期に相当する散漫散乱が観測された.この錯体は温度変化とともに輸送特性と結晶構造が一致して変化することがわかった.
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