1998 Fiscal Year Annual Research Report
嵩高いトリスピラゾリルボレートを配位子とするマンガン酸素錯体の合成と性質
Project/Area Number |
10740309
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
小松崎 秀人 茨城工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (00280347)
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Keywords | マンガン / 酸素錯体 |
Research Abstract |
本研究では、嵩高いトリスピラゾリルボレート配位子を用いてタンパク酵素や合成化学的酸素添加触媒の活性中間種モデルとなる新規マンガン酸素錯体を合成し、その反応性等を検討するとともに分子レベルで酸素代謝や酸素添加反応の機構の解明、新規酸化触媒系の開発を目的として検討を行っている。 本年度は、まず種々の配位不飽和な低原子価マンガン単核錯体を合成し、これらと酸素分子との反応について検討を行った。低原子価錯体としては、補助配位子がアセテート、アセチルアセトナート、フェノキソ、そして含硫黄配位子を有するものを合成した。フェノキソ錯体については、X線解析により単核構造であることを明らかにしたが、解像度が悪いためにリファインを要する。また、含硫黄配位子を有する単核錯体のX線構造解析にも成功し、含硫黄配位子の他に再結晶溶媒に用いたアセトニトリルが1分子配位した六配位八面体型からなる単核構造であることが判明した。他の錯体については、IR、マススペクトルや元素分析等の結果から所望の単核錯体であることを確認した。合成した各々のマンガン(II)単核錯体と酸素分子との反応を試みたところ、フェノキソ錯体と含硫黄錯体については反応が進行し、マンガン錯体による酸素分子の活性化が起こっていることが推察された。現在、これらの反応から得られた最終生成物の単離・同定を行っている。また、各種スペクトルから最終生成物は酸素が導入された錯体であることが示唆され、その反応過程ではマンガン酸素錯体を経由していると考えられる。今後は最終生成物を同定し、活性中間種である酸素錯体の構造や諸性質の解明を計画している。
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