1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリントライアングル三量体の合成とその性質の研究
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10740310
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 稔 茨城工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (80259811)
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Keywords | ポルフィリン / 電子スピン共鳴 / 三重項 / ジアザ化合物 / ピラジン / ゼロ磁場定数 |
Research Abstract |
本研究では、3つのポルフィリン環をトライアングルに結合させた三量体に関し、以下の5点について研究することを目的とした。 1. ポルフィリン三量体骨格の合成 2. 金属錯体の電子状態および磁気的性質の検討 3. 具核金属錯体の合成 4. 混合原子価錯体の合成 5. ホスト-ゲスト包接挙動の確認 今年度は、1.の三量体骨格の合成と2.電子状態および磁気的性質に関する予備実験を行った。合成では5段階反応の内、3段階まで完了し、残りの2段階は来年度引き続き行う。また、予備実験として、各種ジアザ化合物を架橋配位子(L)としてもつ平行平面型コバルトポルフィリン二量体((Co^<II>Por)_2L)系における電子状態、磁気的性質についての研究を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 1. (Co^<II>Por)_2Lの磁気的性質は、架橋配位子およびポルフィリン環の置換基で大きく変化すること。 2. ゼロ磁場分裂について見てみると、π系を持たない1,4-ジアザビシクロ-[2,2,2]-オクタン架橋系では、ゼロ磁場定数値は小さいが、π系を持つピラジン架橋系では、ゼロ磁場定数値が著しく大きいこと。これは、ピラジン架橋系ではπ系の存在によりゼロ磁場定数に対するスピン軌道相互作用の寄与が大きくなるためである。
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